バーランダーが火つけ役。MLBは「高めのフォーシーム」が新トレンド (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 このように、スピンレートの多いピッチャーは剛腕タイプだけではありません。日本人ピッチャーで挙げるならば、シカゴ・カブスの上原浩治投手がいい例でしょう。彼は剛速球でぐいぐい押すタイプではありませんが、高めのフォーシームを要所で生かしながらバッターを打ち取っています。

 また、この「高めのフォーシーム」を積極的に活用している例は、選手個人だけではありません。チーム全体として高めにフォーシームを投げるよう指示している球団もあります。それは、ア・リーグ東地区のタンパベイ・レイズです。

 一般的にアメリカでは、「低めにボールを投げられないピッチャーは、メジャーには上げられない」と言われています。それほど、アメリカのコーチは低めへの意識を徹底的に指導します。しかし、レイズの場合はそれと正反対の指示を行なっているのです。

 昨年、レイズの先発投手陣でふたケタ勝利を挙げたのはジェイク・オドリッジ(10勝6敗)たったひとりでした。エース不在の苦しい台所事情だったため、少しでもスタットキャストのデータを有効活用すべく、高めへのフォーシームを多投するように徹底したのです。昨年、レイズの高めの速球率はア・リーグ1位の20.91%、高めのストレートによる空振りもリーグトップでした。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る