ドラフト候補の本音。滝川二の大器・坂井陽翔は「ポテンシャルだけじゃ意味がない」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & phot by Kikuchi Takahiro

 ただし、坂井には明確な課題がある。指にかかったストレートは誰もが圧倒される一方、指にかかりきらないボールも多い。坂井の体感では、「まだ10球中6球くらいしか納得のいくボールがいかない」という。

「いいストレートの時は、リリースの瞬間に『ピチッ』とボールを切る音が聞こえてくるんです。はまらない時はスーッと音が聞こえない。いいピッチャーは10球投げたら9〜10球はかかったボールが投げられると思うので、自分も練習してその感覚を見つけていきたいです」

【強豪校相手に好投】

 毎年春が訪れると、滝川二にはセンバツ出場校から練習試合の誘いが殺到する。なぜなら、滝川二の野球場は甲子園のリハーサルにうってつけだからだ。甲子園球場と同規格、同じ向きの造りで、太陽の位置まで同じ。しかも今年は坂井という逸材までいる。報徳学園、大阪桐蔭、社、敦賀気比、慶應義塾、高松商と多くのセンバツ出場校と練習試合をこなした。

 坂井は報徳学園戦こそ不本意な投球に終わったものの、大阪桐蔭戦では5回を投げて2安打2失点と好投。慶應義塾戦でも5回を投げて1安打無失点と好投した。甲子園出場校を相手に、坂井は自信を深めたという。

「大阪桐蔭は秋にも練習試合をしたんですけど、その時は7回7失点でした。当時は大阪桐蔭に名前負けしていましたけど、この春は『同級生やし、変わらんやろ』と下から入らずに投げられました。徳丸(快晴)に甘く入ったスライダーをホームランにされて、やっぱり強いと思いましたけど、いい収穫になりました」

 すでに多くのスカウトが滝川二を訪れ、坂井を視察している。なかには「大阪桐蔭の前田(悠伍)より好み」と語ったスカウトもいたという。

 周囲の喧騒をよそに、坂井は冷静さを保ちながらこんな本音を語った。

「スカウトの方々に見ていただけるのはうれしいことですけど、まだまだ結果が出てないので。この夏は必ず結果を出して、認めてもらいたいです」

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