長島三奈の名場面「甲子園がひとつになった決勝再試合」

  • スポルティーバ編集部●取材・文 text by Sportiva
  • 北川鉄雄●撮影 photo by Tetsuo Kitagawa

『熱闘甲子園』元キャスター、長島三奈さんインタビュー(3) 

 高校野球の話になると、もう止まらない。三奈さんの熱のこもった思い出話は延長戦に。98年の横浜、07年の佐賀北と来たら、名勝負中の名勝負、06年の延長再試合となった早実対駒大苫小牧の試合も触れないわけにはいかない。
(前回の記事)


「高校球児の熱い思いは90年代と変わらないけど、 眉は細くなりましたね(笑)」と長島三奈さん「高校球児の熱い思いは90年代と変わらないけど、 眉は細くなりましたね(笑)」と長島三奈さん「延長15回を終わって、1-1。引き分け再試合が決まって、両校が整列した時、甲子園の観客5万人が一斉に立ち上がったんです。私も含めて、記者席のみんなも立ち上がって拍手。無意識に、スタンディングオベーションしていました。そこに立ち会った全員の心が一つになったんです。こんなことはやっぱり、『熱闘甲子園』でキャスターを務めた15年間で一度だけでしたね。『どっちも頑張れ』とよく口にはしますけど、高校野球とはいえ、勝負はつくので、勝者に拍手、そして敗者にも拍手となるんです。でも、この時は『両チームとも、こんな素晴らしい時間と空間をありがとう』という気持ちになりました。同じ決勝戦でも、マツ(松坂大輔)のノーヒットノーランの時も立ち上がることはなかったですから。すごいことなんだけど、やっても不思議はないな、という感じでしたし(笑)」

 担当していた番組『熱闘甲子園』も急遽、放送日が1日増えた。慌ててトランクから衣装を出したのを覚えていると言う。再試合は4-3で早実が勝利を収めて、優勝。駒大苫小牧の最後の打者は田中将大だった。

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