[2012年01月02日(月)]
【プロ野球】山崎武司「一度でいいから日本シリーズの舞台に立ってみたい」
- 石塚隆●構成 text by Ishizuka Takashi
- 喜安●写真 photo by Kiyasu
山崎武司×金村義明 新春対談(2)
金村 ホンマ、タケシは地域密着やったからな。仙台有数の繁華街である国分町で自転車に乗っているタケシを見かけた人がどんだけおるか。
山崎 国分町に知り合いのお店があって、そこで毎晩食事をしていたんです。
金村 だからタケシのことをよく知らん人は、毎晩飲み歩いていると思ってたんやろうな。こう見えて酒は一滴も飲めないのに(笑)。
山崎 国分町のドンぺリを全部集めて飲んでたっていう噂もありましたよ。あとクラブのお姉ちゃんをルイヴィトンの店に連れて行って、棚に飾ってあるバッグを端から端まで買い占めたとか。「もう勝手にしろ!」って感じです(笑)。
金村 清原(和博)のイメージとダブらせてるんやろな。ヤンチャやから。そういえばタケシは今年で26年目やけど、何人の監督のもとでやってきた?
山崎 えーと順番に言うと、星野(仙一)さん、高木(守道)さん、二度めの星野さん、山田(久志)さん、石毛(宏典)さん、レオン(リー)、伊原(春樹)さん、田尾(安志)さん、野村(克也)さん、(マーティー)ブラウン、またまた星野さん。で、次は高木さんだから、全部で9人ですね。
金村 そんなたくさんの監督とやってきた選手、なかなかおらんで。その中でケンカした監督はたしか3人か(笑)。
山崎 いや、2人です(笑)。
金村 一番印象に残っている監督は?
山崎 もちろん星野さんも印象深い監督ですけど、やっぱり野村さんですかね。気持ち良く野球をやらせてもらいましたので。
金村 世間では絶対に合わないと思われていたふたりやから、正直驚いたわ。
山崎 僕自身、野村さんが就任したときも、「ああこの人に葬られるんだ」って思ってましたからね(笑)。けど野村さんは、「お前は俺に似てるところがある」とすごく可愛がってくれました。基本的に選手たちは野村さんに対して、ちょっと距離を置いてしまうところがあるんですけど、僕は積極的に行って受け入れてもらった感じですね。野球論とかミーティングとか最初はちょっと面倒臭かったけど、だんだんと自分の中で理解できると野球が楽しくなって、プレイしているとドキドキワクワクする。最後はCSにも連れて行ってくれましたし、僕だけじゃなくみんな言ってますよ。「あのときは楽しかったなあ」って。
金村 オレが聞いて意外だったのは、野村さんの采配には情があるらしいな。
山崎 コーチがピッチャーを代えようとすると、「ここで代えてアイツ腐らへんか」って心配したり、ベテランの磯部(公一)に対して代打を出そうとすると、「アイツもプライドがあるやろ」って止めるんですからね。結局代打を出されてベンチに戻ってきた磯部に、「悪かったな」って肩をポンって叩いていましたね。
金村 それは意外やわ~。
山崎 ヤクルト時代は、そんなことなかったと聞いてますけどね。
金村 丸くなっていくんやな。星野さんももうちょっと丸くなると思ったんやけど。
山崎 変わってなかったですね。ピッチャー出身の監督は、打者には厳しいんですよ。三振を嫌がりますからね。
金村 そうやな。オレも西武時代、ゲッツーを取られると、現役時代デッドボールでランナー出して散々ゲッツー取ってきた東尾(修)さんからめちゃくちゃ怒られた。ただ、ピッチャー出身の監督は、ピッチャーに対しては我慢するんや。
山崎 そうですね。次の高木監督は気は短いんですけど、選手起用に関しては我慢強い方ですよ。
金村 高木さんとはもう話した?
山崎 ええ、電話で。「今回は色々とありがとうございました」と言ったら、「いや、いいんだよ、頑張ってくれれば」って。
金村 俺も高木さんとは一緒にやったことがあるけど、3回ぐらいしかしゃべったことないなぁ。そんな無口な人が、毎週のようにイベントに登場して精力的に中日ファンへサービスしとるんやからな。タケシもファンサービス要員として仕事せなアカンぞ。
山崎 なんか高木監督と新しいスタッフで初めてのミーティングをやったそうなんですけど、そのとき宇野(勝)コーチが、「武司どうするんですか?」って聞いたんですって。宇野さんは起用方法やキャンプでの扱いの話をしたつもりなんですが、高木監督は「あいつは名古屋での人気がすごいからな」って(笑)。それで話が終わったみたいです。
金村 それぐらいタケシの人気は名古屋で絶大なわけや。ファンが減ってきた中日にはお前が必要なんよ。じゃあ、指揮官としての高木監督はどんな印象を持っている?
山崎 思い描いていることが自分でできてしまう天才型の人なので、掴みきれない時があったんですけど、すごく大胆ですよね。普通、ギャンブルをするときって、あれこれ考えたり迷ったりすると思うんですけど、高木監督は直感で迷わず答えの出せる人。それで、ダメだったらしょうがないって、すごく割り切りが早いんです。
金村 それでは背水で挑む2012年。どんなシーズンにしたい? タケシの中の理想を語ってええで。
山崎 優勝するのはもちろんですけど、とにかく日本シリーズに出たいです。実は僕、日本シリーズを味わったことがないんですよ。99年、中日でリーグ優勝したときは、ケガで出られませんでしたから。最近もゲスト解説とかに呼んでいただいて、外から日本シリーズを見ると素直にいいなぁって思っていましたし、25年間もやってきて一度も出場がないのは寂しすぎます。野球をやる者として、一度でいいから当事者として、あの雰囲気がどんなものなのかを味わってみたい。それが、僕の26年目のシーズンの理想です。
プロフィール

- 金村義明(かねむら・よしあき)
1963年、兵庫県生まれ。報徳学園では3年夏の甲子園で4番・投手として全国制覇を達成。82年にドラフト1位で近鉄に入団。プロ入り後、打者に転向し”いてまえ打線”の中軸を担う。その後、中日、西武でも活躍し、99年に現役を引退。
現在は「現場主義」をモットーに、野球評論を中心に幅広い分野で活躍中。
金村義明オフィシャルWebサイト



















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