富栄ドラムが振り返る力士時代 日馬富士の付け人として学んだこと、貴景勝の連勝を止めた取組 (5ページ目)

  • 取材・文●白鳥純一 text by Shiratori Junichi

――その後はYouTuberなどを経て、俳優としての大抜擢につながるわけですが、なぜ芸能界入りを決めたのでしょうか?

ドラム 僕は相撲をしている時にも「大関や横綱を目指すより、人気のある幕内力士になって、相撲を通じてみんなを笑顔にする」ことを目標にしていたんです。ケガの影響で引退を決めた時に、「相撲以外のやり方でも、その夢は叶えられるのではないか?」と思うようになって。YouTubeを始めた頃は不安だらけでしたし、「そんなに人生は簡単にいかないだろう」と思っていましたが、必死に悩み抜きながら頑張ってきました。

――富栄ドラムさんの存在を広めた『VIVANT』は、世界配信や総集編の放送も決定しています。まだ作品を見ていない、見直す視聴者に向けて、お気に入りのシーンはありますか?

ドラム 僕がお餅を食べているシーン(第4話)とか、中華料理屋で野崎と一緒に乃木(堺雅人)のスマートフォンに書かれている銀行口座の額面を覗き見る場面を見てほしいです。あとは、日本とモンゴルのすばらしい景色の映像もたくさん出てくるので、ストーリーと合わせて迫力のある映像も楽しんでもらえたら嬉しいです。

――富栄ドラムさんにとって、2023年はどんな年でしたか? 2024年の抱負も併せて聞かせてください

ドラム 2023年はめちゃくちゃ大変な日々を過ごしましたが、自分の努力を上回るくらい、多くの成果が得られた1年だったように思います。力士としては苦労も多く、いくら頑張っても芽が出ずに心が挫けてしまいそうな経験もしてきましたけど、「必死に努力すれば報われるんだ」と心の底から思えた1年でした。2024年以降も引き続き、目の前の仕事を全力で頑張っていきたいです。

【プロフィール】
富栄ドラム (とみさかえ・ドラム)


 1992年4月11日 兵庫県生まれ。中学校を卒業後に伊勢ヶ濱部屋に入門。「冨田」として2008年春場所で初土俵を踏んだあと、四股名を「富栄」に変更する。最高位は東幕下6枚目(2018年11月)。ケガの影響などにより2021年春場所に現役を引退した。その後はYouTubeなどでのタレント活動を経て、俳優として『サンクチュアリ -聖域-』(Netflix)や『VIVANT』(TBS系)といった話題作に出演するなど、活躍の場を広げている。

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