富栄ドラムが振り返る力士時代 日馬富士の付け人として学んだこと、貴景勝の連勝を止めた取組 (2ページ目)

  • 取材・文●白鳥純一 text by Shiratori Junichi

――他に見ていたスポーツやテレビ番組はありますか?

ドラム 相撲部屋に入ってからは見る機会も減りましたが、プロ野球中継や、バラエティ番組の『笑う犬の冒険』とか、『名探偵コナン』も見ていました。コナンでは灰原哀が好きでしたね。

――灰原哀の声は、ドラムがコミュニケーションをとる時に使う翻訳アプリの声を務めた、林原めぐみさんが担当されていますね。

ドラム そうなんです。灰原哀の声が好きで、一時は恋をしている時期もあったくらいです(笑)。まさか、ドラマで自分の役の声をやっていただけることになるとは思わなかったので、とにかく嬉しくて。ドラマをきっかけに林原さんとお会いした時に、僕とふたりでドラム役をやっていると声をかけてくださったり......いろいろと気にかけてくれたことが本当に心強かったです。

【日馬富士らの付け人時代に学んだ「気遣い」】

――『VIVANT』で大ブレイクした富栄ドラムさんは、力士時代に元横綱・日馬富士さんの付け人を務めていました。どのような経緯で担当されることになったのでしょうか?

ドラム 僕が部屋に入って2年半くらい経って、3段目に上がる前だったかと思います。当時の日馬富士関は、まだ「安馬」という四股名で、関脇から大関に昇進する頃でしたね。

 1年目は伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)の付け人をさせていただいていて、2年目は3段目などの先輩の買い出しを手伝ったりしていたんですけど、ふと「世話役をやるならば、トップの人に付いた方が勉強になるかな?」と思って。親方の同意をいただき、日馬富士関の付け人を引退の直前までやらせてもらいました。

――日馬富士さんからはどのようなことを学びましたか?

ドラム 日馬富士関は優しくて、とてもファン思いの方でした。ファンに写真撮影を頼まれた時にも、きめ細かい配慮をしながらサービスをされていましたし、その気遣いの様子を見ているだけでも僕はとても勉強になりました。

――付け人をやる上で大切にしていたことは?

ドラム 「何する時も全力でやること」「物を取りに行く時は全力で走る」など、気遣いを意識していました。日馬富士関の付け人を務めていると、だんだん横綱と阿吽の呼吸で意思疎通ができるようになってきて、横綱の目を見るだけで「何をしたいのか」が感じ取れるようになったんです。そうして「お前は付け人の中で気が利く」「相撲の才能がある」と褒めていただいたことは、今も誇りにしています。

――『VIVANT』で演じたドラムも野崎守(阿部寛)のサポート役を務められていましたが、付け人の経験は役に立ちましたか?

ドラム 今回のドラムは「付け人の役」のような部分もありますから、相撲部屋にいた頃の経験が役に立ちました。例えば、横を歩く時に阿部さんに場所を譲ったり、ちょうどいい間隔で後ろを付いていったり、気遣いをする演技などに生かせたかなと思います。

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