日本選手権200mで優勝も「なぜ4×100mリレーの権利がないのか」ロンドン五輪で高瀬慧が味わった複雑な心境 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

 一方で日本選手権以降、「200mで勝負したい」という思いが強くなっていた。「どうすれば勝てるのだろう」ということを真剣に考え始め、「国内では負けないレース」を目標に取り組み、9月の全日本実業団で高平を抑えて優勝することができた。

 しかし、2012年ロンドン五輪シーズンに入って日本代表として出場できたのは、春の国内2レースほか、ワールドチャレンジ大邱大会に遠征したマイルリレーだけだった。それでも、この状況をプラスに捉えていたという。

「マイルリレーも記録を出して世界ランキングを上げなければいけなかったので、自分が貢献できるなら貢献したいと思っていましたし、海外レースの経験も少なかったので、そこで走ることも五輪に向けて(個人としても)キャリアになると思えていました。どちらかというと、まずは個人で、リレーはおまけという感覚でした」

 その裏側には、6月の日本選手権200mで五輪代表を決める手応えを掴んでいた。

「大会の前から確信はありました。1年前からしっかり自分が得たプランの練習ができていましたし、全部イメージどおりに進んでいました」

 その言葉どおり、高瀬は日本選手権の200mで飯塚を抑え、ロンドン五輪A標準記録(20秒55)突破の20秒42で優勝して初の五輪代表を決めた。だが、リレーは変わらずにマイルリレー要員に選ばれた。

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