ロコ・ソラーレの石崎琴美が振り返る北京五輪。決勝前、選手たちの「表情が少し硬いかなと感じた」 (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

――JDこと、ジェームス・ダグラス・リンドコーチはいかがでしたか。

「JDはいつもどおり、頼もしかったです。それでも、私の個人的な感想ですけど、いつもは冷静なJDが北京五輪では少し熱くなっていた場面もあったというか、勝利への強い意志を見せてくれた気がします」

――JDと小野寺コーチ、石崎選手は、コーチボックスではどんなコミュニケーションを交わしていたのでしょうか。

「選手のコンディションを共有したり、ショットの選択についての意見を交換したり、というのがほとんど。自分たちを『チーム・コーチベンチ』と呼んでいたんですけど、その3人の関係性がよくて楽しかったです」

――その「チーム・コーチベンチ」から、石崎選手が冬季五輪では日本の史上最年長メダリストとなりました。

「すごくうれしかったですし、チームには感謝しています。でも、メダルをかけてもらった3時間後には『どうして決勝ではいつもの試合ができなかったんだろう』『よりよいパフォーマンスを発揮できなかったのはなぜだろう』と、最後の試合で浮き彫りになった課題に頭のなかは切り替わっていた気がします」

――その決勝、やはり不本意な試合だったのでしょうか。

「準決勝のスイス代表戦では(選手たちが)いい意味で開き直っていて、『これはいけるだろうな』という確信みたいなものがあったんです。でも、決勝直前のミーティングの時は、みんなの表情が少し硬いかなと感じました」

――イギリス代表との決勝戦は、9時5分開始でした。当日のチームのタイムスケジュールを簡単に教えてくれますか。

「6時過ぎにはみんな、朝食を済ませていたのかな。7時15分に選手村出発のバスに乗って、7時半には会場に着いていました。それからウォーミングアップなどの準備をして、ミーティングに入ったのは8時半ぐらいですね。

 ミーティングでは、まず選手間で話をして、次にJDからアイスの状態やゲームのポイントについてのアドバイスがいくつか共有されます。そのあとに亮二さんが話をします。決勝では『1試合1試合やってきて、ついに11試合目、決勝まできました』みたいな感じでしたね。そして、私はいつも最後」

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