坂本花織、今季序盤からエンジン全開 全日本&世界選手権3連覇へ「前の試合の自分に勝つ」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【スケートと向き合える時間が増えていく】

 元気はつらつ、明るい23歳が、どんなミステリアスな女性を演じるのか。この日は「ファム・ファタール」(フランス語で「運命の女」)を彷彿とさせる黒のロング手袋をつけ、銀色のスパンコールをふんだんにちりばめた黒のドレス風のコスチュームをまとい、濃い目のメイクを施した。外見はまさにミステリアスな装いだったが、演技については本人も自覚していたように、まだ「初心者マーク」をつけているような状態だったことは否めない。今後、滑り込んでいくことで、どんな表現を見せてくれるのか。

 ちなみに、このプログラムは全身を使って激しい動きを組み込んでいることもあるのか、演技後のフィニッシュポーズでは、引きつった笑みを見せて、ミステリアスはどこへやら、よろけながらリンクを引き上げる姿が観客の笑いを誘っていた。

「ただただ体力がきつくて、もう最後のポーズをしたときに足がパンパンで、挨拶もよれるくらいきつかったので、あの顔になっていました(笑)」

 このジャパンオープンを機に本格的に始まる今季。坂本が出場するグランプリ(GP)シリーズは、10月27-29日のスケートカナダ(バンクーバー)と11月17-19日のフィンランド杯(エスポ-)の2戦。そして、この2試合の結果を受けて、ポイント上位6人が出場するGPファイナルは12月7-10日に中国・北京で行なわれる。

 強豪ロシア勢が不在のフィギュアスケート界にあって、日本勢はシニアでもジュニアでも世界をけん引する存在だ。その筆頭に立つ坂本の今季の目標は、「全日本選手権と世界選手権で3連覇をすること」。坂本にしか言えない目標設定に、ジャパンオープンに出場していた友野一希は「かっこいい」とうらやましがっていた。

「昨季はグランプリシリーズがあまりうまくいかず、何とか全日本選手権から本調子に戻った。今季はジャパンオープンも自分なりにうまくできたと思っているので、この流れでグランプリシリーズ2戦とグランプリファイナルも、しっかりベストコンディションでベストな演技ができればいいなと思っています。そこがうまくいけば、全日本選手権もうまくいくと思うので、徐々にちょっとずつでも上げていけたらいいと思っています」

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