河辺愛菜の悔しい初五輪。「4年後は出場するだけでなく、上位を目指せる選手に」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

【トリプルアクセル失敗も「後悔ない」】

 SPは4番目の滑走、真っ白にシルバーのストーンをちりばめた衣装でリンクに出てきた。アントニオ・ビバルディの『四季』より『冬』で、雪に舞う女王をイメージ。冒頭、昨年12月の全日本選手権で成功させて代表を勝ちとったトリプルアクセルに挑んだが、あえなく転倒となった。

「回りたい、降りたいという気持ちが強すぎて、少し内側で跳んでしまったのが失敗の原因かなと。スピードに乗って、真っ直ぐに跳ばないと。ただ、3A(トリプルアクセル)に後悔はないし、2Aにすればよかったとは思っていません」

 そう語った河辺は、強気に立て直しを図った。3回転ルッツ+3回転トーループで高得点をたたき出し、3回転フリップも成功。終盤に本来のスケートを取り戻し、スピンふたつはレベル4で、雪の化身になった。

「ミスが出たのは悔しいです。でも、濱田(美栄)先生にも『アクセルの失敗だけに収められたのは成長できた点』と言っていただいて。独特の雰囲気ですが、"オリンピックで滑っているんだ"と思うと楽しくて」

 SPは62.69点で15位。やや苦しいスタートになったが、持ち前の胆力の強さを見せていた。しかし、初々しい野心はオリンピックという魔物に飲み込まれることになった。

 2月17日、フリースケーティングは『Miracle』で奇跡を起こすべく挑んでいる。SPではうしろでまとめていた髪を一本に束ねていた。海と空のような青い衣装で、揺れる髪に決意が見えたが......。

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