ドーピング問題を経てワリエワが五輪出場へ。騒動で精神状態が気になるなか、4歳からの夢の実現に挑む (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

 もっとも、ワリエワは完全無欠な気配を漂わせる。

 柔らかでしなやかな体躯に恵まれ、四肢は長く伸び、関節の可動域は人間離れ。練習のたまものか、フリーレッグは足先までピンッと伸び、レイバックスピンでは両足が一本につながったような錯覚さえ与える。ジャンプも独特で、長い腕で細い体に回転をかけるように跳ねる。両腕はそのまま高く上げ、空中で両脚をきつく締め、錐が鋭く回転させるようにして、抜群のバランス感覚と筋力で氷をつかむように降りる。

 まさに非の打ち所がない。フィギュアスケートというスポーツで高得点をたたき出すために必要なあらゆる技術を身につけている。「最高傑作」と言われる理由だ。

 2月15日、ワリエワは女子シングルの戦いに挑む。ドーピング騒動による動揺がないはずはないし、公平性の点で疑問は残る。世界歴代最高得点記録を持つ少女が対峙するのは自分自身だ。

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