ドーピング問題を経てワリエワが五輪出場へ。騒動で精神状態が気になるなか、4歳からの夢の実現に挑む

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

北京五輪団体戦SPのカミラ・ワリエワ。圧巻の演技を見せた北京五輪団体戦SPのカミラ・ワリエワ。圧巻の演技を見せたこの記事に関連する写真を見る カミラ・ワリエワ(15歳)はドーピング騒動の渦中の人となった。昨年12月のロシア選手権での検体で、禁止薬物トリメタジジンが検出。2月8日の段階で判明し、その影響で団体戦のメダル授与式は延期されていた。

「なぜ団体戦のあとに?」「16歳未満の選手は保護対象で罪を問うべきか」「またもロシアで卑劣なドーピングが横行か!?」「そもそも不正をただせないロシアに五輪出場の権利はあるか?」

 報道は過熱していった。一時は選手側のRUSADA(ロシアアンチドーピング機関)への申し立てで資格停止が解除されたが、IOC(国際オリンピック委員会)などがCAS(スポーツ仲裁裁判所)に提訴。しかし2月14日、あらためて申し出が公聴会で却下され、正式に出場が認められることになった。

 ワリエワ本人は粛々と練習に取り組んできた。はたして、2月15日からスタートする女子シングルで覇権を取れるのか。ドーピング疑惑の目に晒されながら......。

【周囲を「絶望」させる演技】

 少し時計を巻き戻そう。

 北京五輪、フィギュアスケート団体戦。ROC(ロシア・オリンピック委員会)のメンバーとして女子シングルのショートプログラム(SP)、フリーのどちらにも出場したワリエワは、怒涛の演技を見せている。

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