井上尚弥はスーパーバンタム級で誰と闘うのか。「悪童」との因縁マッチ、「最大の難敵」とのドリームマッチの可能性は? (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

【5位】マーロン・タパレス(フィリピン/30歳/36勝3敗・19KO) 

元WBO世界バンタム級王者

 バンタム級時代から多くの日本人選手と対戦し、日本のファンにもおなじみになった強打のサウスポー。2019年12月、岩佐亮佑(セレス)とのIBFスーパーバンタム級暫定王者決定戦で11回TKO負けを喫するも、2021年12月にはIBFエリミネーターで勅使河原弘晶(三迫)に2回KOで圧勝。ランキング1位にのし上がった。

 IBFのタイトルを持つ2団体王者のアフマダリエフは4団体統一を目標にしているため、IBFの指名戦は実現するだろう。その試合では苦戦が予想されるが、大番狂わせを起こした場合、タパレスは一気に井上のターゲットに浮上する。
 
【4位】アザト・ホバニシャン(アルメニア/34歳/21勝3敗・17KO)

 2018年5月、バルガスの持つWBC同級王座に挑んで判定負けするも、以降は7連勝中(6KO)のタフガイ。パワフルな左右のフックを振り回し、"クレイジーA"と呼ばれるほどの好戦的なスタイルには魅力がある。井上のロサンゼルス修行の際、スパーリングパートナーも務めたことで日本のファンにも名を知られるようになった。

 前述通り、すでにWBCからはネリvsホバニシャン、アリームvsピカソという2カードのエリミネーター指令が出ている。ネリに比べると知名度は劣るものの、スーパーバンタム級でなら馬力に勝るだろうホバニシャンにも十分勝機がある。ここで勝てば名前も売れ、近い未来にWBCタイトルを巡って井上と絡むことも考えられる。

 フィジカルの強さゆえ、井上と対戦すれば激戦になるだろう。ホバニシャンはいわば、スーパーバンタム級戦線のダークホース的な存在といっていい。

【3位】ライース・アリーム(アメリカ/32歳/20戦全勝・12KO)

元WBA世界スーパーバンタム級暫定王者

 スピード、スキルに恵まれた黒人ボクサー。元暫定タイトルホルダーながら、"試されざる選手"という印象が強かったものの、今年9月、プラニアとの世界ランカー対決を一方的に制して評価を上げた。

 昇級後の井上はスーパーバンタム級のWBO1位にランキングされる可能性があり、同団体のタイトルを持つフルトンが階級を上げた場合、現在WBO1位のアリームと井上に決定戦の指令が出るかもしれない。プロモーターの違い、アリームの知名度の低さもあって、実際に井上vsアリームが実現するかはかなり微妙なところ。それでも今後、アリームの名前が取り沙汰される機会が増えそうな予感はある。

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