井上尚弥はスーパーバンタム級で誰と闘うのか。「悪童」との因縁マッチ、「最大の難敵」とのドリームマッチの可能性は? (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

【7位】ロニー・リオス(アメリカ/32歳/33勝4敗・16KO)

 世界王座には手が届かないものの、激闘型のスタイルで、少し格下の相手には強さを発揮するベテラン。今年6月の前戦ではムロジョン・"MJ"・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に挑戦して奮闘するも、最終12 回でTKO負けを喫した。過去には、レイ・バルガス(メキシコ)、アザト・ホバニシャン(アルメニア)に完敗しており、伸びしろは感じられない。それでも米西海岸では人気のメキシコ系アメリカ人選手のため、また何らかのチャンスは巡ってきそうだ。

【6位】ルイス・ネリ(メキシコ/28歳/33勝1敗・25KO)

元WBC世界バンタム級王者、元WBC世界スーパーバンタム級王者

 バンタム級時代に日本のリングで体重超過、薬物違反などのトラブルを起こし、"問題児"として名前を広く知られた。昨年5月にスーパーバンタム級で初黒星を喫したが、再起後に2連勝。WBC1位、IBF3位、WBO2位と高位にランキングされ、近いうちに世界戦のチャンスがありそう。それは、井上と絡んでくる可能性が高まるということでもある。

 WBCから指令を受けたネリvsホバニシャンのエリミネーター(1位の座を争う次期挑戦者決定戦)は、2023年1月に予定されていたライアン・ガルシア(アメリカ)vsメルシト・ヘスタ(フィリピン)戦のアンダーに組み込まれるはずだったが、ガルシアが試合を回避することを表明したため、どうなるかは未定だ。

 ともあれ、ネリがホバニシャン、もうひとつのエリミネーターであるアリームvsアラン・ピカソ(メキシコ)戦の勝者に連続で勝てば、WBC王者スティーブン・フルトン(アメリカ)がフェザー級に昇級した場合に後釜王者に就くことになりそう。また、アリームvsピカソがWBCの思惑通りに挙行されなかった場合は、シードのような形で井上とネリが空位のWBC王座を争うという構図も見えてくる。

「ネリにはチャンスを与えてほしくない」と考えている日本のファンは多いかもしれないが、悪童絡みのカードには禁断の魅力があるのも事実。因縁ファイトが実現すれば、世界的な話題を呼ぶことだろう。まずはホバニシャン戦がどんな結果になるか、大きな注目が集まる。

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