男子バレー五輪消滅。圧倒的な体格差を埋める方法はあるのか? (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari  中村博之/PICSPORT●写眞 photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 第2セット以降もコミットにつくことは変えず、中国もやっとミドルからの攻撃を仕掛けてきたが、キルブロック(両手を相手コートに突き出し、ボールを真下に落とす)を目的として跳んでいるにもかかわらず、ブロックをはじかれるシーンが目立った。結果から見れば、この戦術は間違っていたといわざるを得ない。

 また、今大会はワールドカップでは走っていた石川、柳田、清水邦広らのサーブが機能せず、ブロックに跳ぶ的を絞りにくくなったために、相手チームにはブロックを量産されるが、日本のブロックはキル、リバウンド含めて非常に少なかった。この3名は強力なジャンプサーブが武器だが、入れば効果は大きいものの、ミスをする確率も高い。中国は日本戦ではあまり強力なジャンプサーブを打たず、ジャンピングフローターを多用してきた。国内選手と異なり、2m超の高身長から繰り出されるジャンピングフローターは手元での変化が大きく、これにレセプション(サーブレシーブ)を大きく崩された。

 南部監督は今回の敗因に「サーブ力の差」を挙げていたが、サーブ力とは何も強いサーブだけを指すのではない。高いところからスピードを持って落とすジャンピングフローター、相手の攻撃を消す意図でのコース打ち、それらを総合してのサーブ力の差が、日本と他国との間にあった。

 ポーランド戦では、石川が後衛のセンターでレセプションするローテーションで徹底的に狙われ、直接エースをとられたのを含め、9連続得点を許した。石川のバックアタックをつぶし、レセプションを乱すことでミドルからの攻撃もつぶし、サイドに絞ってブロックで仕留めるか、ワンタッチしてから切り返す。最終的に選手交代をして石川の位置にリベロの永野健を入れることによってこのローテーションを回したが、ポーランドに逆転を許し、そのままストレートで完敗した。

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