【テニス】波乱の予感。錦織・添田ペア、92年ぶりのメダルの可能性

  • 内田 暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

コンビネーションに磨きがかかり、ダブルスでのメダルを狙う錦織圭(左)と添田豪(右)コンビネーションに磨きがかかり、ダブルスでのメダルを狙う錦織圭(左)と添田豪(右)「これからももっと切磋琢磨し、みんなで上に行きたい」

 ともにツアーを戦う日本人選手の存在について、錦織圭はそのように口にした。

 7月16日付の世界ランキングで19位の錦織を皮切りに、54位の添田豪、そして68位の伊藤竜馬と、トップ100に3選手を送り込む日本男子テニス界。テニスにおいてふた桁のランキングとは、世界基準で戦うトップ選手の証である。日本3選手はその称号に加え、今年は『オリンピアン』の肩書きも手にしたのだ。

 今でこそツアー選手として、堂々たる成績と立ち振舞を見せる添田と伊藤だが、ふたりがトップ100の壁を突破したのは、添田が2011年4月、伊藤は今年3月で、いずれも最近のこと。それを『錦織効果』のひと言で片付けるのはあまりに短絡的だが、100位以内に日本人選手が3人いるのは史上初ということを考えれば、やはり錦織の存在は象徴的だ。彼の活躍を間近に見ることで、「自分にもできる」とメンタルバリアを打ち破ったことが、添田と伊藤を引き上げた要因のひとつなのは間違いない。

 また、今では添田や伊藤も、錦織の背を視界にとらえ、同じステージで戦っているという矜持(きょうじ)を胸に抱いている。以前は「結果を見ても本当にすごいし、刺激になる」(伊藤)、「錦織くんの作った良い流れに乗っていきたい」(添田)とコメントも控え目だった両者だが、最近では、伊藤が「錦織くんも僕のことをすごいと思ってくれている」と言えば、添田も「もう錦織くんの活躍が励みになるという時期は過ぎた」と、言葉や表情も自信に満ちてきた。

続きはこちら>

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る