ラグビー帝京大、異次元の強さの理由。早稲田大に歴史的圧勝で、常勝時代に突入か (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

【ハードワークとコンタクト、スクラムで圧倒】

 キックオフ。深紅の帝京大のジャージがいきなり、はじけた。こぼれ球を拾うと、右に左に連続攻撃を仕掛け、12フェーズ(局面)目、SO高本が右中間に飛び込んだ。ノーホイッスルトライで先制した。

 この日の帝京大のゲームテーマが『ハードワークとフィジカル・コンタクト』だった。つまり、自分たちの持ち味を出すことだった。序盤、早大の準備されたサインプレーから2トライを許しても、帝京大は慌てなかった。

 SO高本は冷静にゲームの組み立てを修正した。タッチキックを増やし、ゲームを切ることにした。これまた強みのラインアウト、スクラムを起点とし、接点でフィジカルを生かし、自分たちのリズムを取り戻すためだった。

 からだをどんと当てていく。スクラムからのキックのカウンターからいいテンポでつなぎ、前半22分、FL(フランカー)青木恵斗が同点トライ。ゴールを加えて逆転すると、その3分後、スクラムをぐいと押し込んでコラプシング(故意に崩す行為)の反則を得て、タッチキック。そのラインアウトからのサインプレーでナンバー8の延原秀飛がトライを重ねた。

 スクラムを見れば、前半序盤は互角に見えたが、徐々に優勢に転じた。ここでも修正力だった。間合い、立つ位置を微妙に変えた。相手と当たるヒットを意識した。PR髙井翔太の述懐。

「最初、自分が少し受けていました。だから、チーム内でコミュニケーションをとって、まずは8人でまとまってヒットを鋭くするようにしたのです。ヒット勝負でした」

 当たり勝てば、スクラムは押せる。特にバック5(ロックとFL、ナンバー8)も真面目に押した。この試合、帝京大はスクラムで5本のコラプシングの反則をもぎ取った。

 ゲームの流れでいえば、前半終了間際のこぼれ球をつなぎ、ウイング(WTB)高本とむが快走を飛ばしたトライは大きかった。ゴールも決まり、28-12。2トライ(ゴール)以上の大量リードで折り返した。

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