バスケ日本代表、W杯での成否のカギは? 富永啓生が体現するチームのスタイル (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka kenzaburo

【リバウンドを制する者は...】

 また、コンビネーションというところでは、中に切れ込むことの多い河村と、ビッグマンながら機動力があって判断もいいジョシュ・ホーキンソン(C・PF/サンロッカーズ渋谷)との相性のよさも際立っていた。

 フランス戦の第2クォーター。河村がドライブインでふたりのディフェンダーを引きつけ、オープンになったホーキンソンが走り込んできてダンクを決めた場面は、まさにそれを示すものだった。

 続けて、日本の「光明」について記していく。

 韓国やニュージーランドとの強化試合で、浮き彫りになった日本の課題はリバウンドだった。しかしその後、明確に改善されている。

 それは、サイズで圧倒的なディスアドバンテージのあったフランス戦やスロベニア戦でも、リバウンド本数で大きく引き離されていないことでもわかる。これはホーバスHCが口酸っぱく言ってきた、相手に体をぶつけて簡単にリバウンドを飛ばせないようにする「ヒット・ファースト」が浸透している証拠だ。

「前半のリバウンドは負けていなかったと思います。全員で意識した結果が前半に出たかなと」

 そのようにフランス戦を振り返ったのは、チームで最も接触プレーを怖れないといっても過言ではない吉井裕鷹(SF/アルバルク東京)だ。

 バスケットボールという競技で、リバウンドが至極重要なことは言うまでもない。データ的にもディフェンスリバウンドを7割以上確保すれば、勝利の可能性がより高まるとされる。

 日本の大半の選手たちにとってこのワールドカップは初めての世界大会となるが、強化試合を通してニュージーランドやフランス、スロベニアといった経験豊富な強豪・格上と試合をしたことで、徐々にたくましさを増していった。Bリーグでは出場時間が十分に与えられていない吉井は、攻守で体を張って味方にパワーをもたらすプレーで欠かせない選手となった。

 今、急速に脚光を浴びている川真田紘也(C/滋賀レイクス)の存在も、光明のひとつだ。無骨で「リアル・桜木花道」と呼ばれるほどのガムシャラな働きぶりで、インサイドのディフェンスやリバウンドでいいパフォーマンスを見せている。

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