F1新時代、2024年の焦点《後編》 国内2冠の宮田莉朋はF2からステップアップの可能性 (5ページ目)
F2はフライアウェー戦も多く、ふだんはなかなか走ることのできないジェッダ(サウジアラビア)やアルバートパーク(オーストラリア)、モナコ、バクー(アゼルバイジャン)といった舞台も経験することになります。
レース週末はわずか45分のフリー走行だけで予選に臨み、しかも予選で初めて履くソフトタイヤでアタックをしなければならないという難しい条件。予選ではタイヤのウォームアップがカギになり、決勝ではタイヤマネジメントが勝負を分けるので、そのためのセットアップとドライビングを煮詰めることも重要です。
とにかく、ただ速いだけでは勝てないのがF2です。
しかし、トヨタとしては1年目で結果を出すことを求めるのではなく、2年といった長い目で宮田のF2参戦をサポートする意向のようなので、それを最大限に活用して焦ることなくタイトルを獲る実力を身につけていけばいいと思います。むしろ1年目は、周りをあっと言わせるような速さを見せることを最優先に置いてもいいかもしれません。
スーパーフォーミュラに対する世界からの注目度が上がっているとはいえ、現状ではスーパーフォーミュラからF1に直接行くルートはありません。F1にステップアップできるのは、F2で実績を残したドライバーに限られています。
これまでルートは、F2で実績を残してからスーパーフォーミュラでさらに実力を示してF1に──というのが定石でした。宮田はスーパーフォーミュラでの実績が認められてF2に参戦し、そこでさらに実力を示してF1への道が拓ければ、これは日本国内のドライバーにとって非常に大きな変革になります。スーパーフォーミュラの価値を高めることにもなります。
そういう意味でも、宮田にはぜひともF2で活躍してもらいたいと期待します。
<了>
プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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