F1新時代、2024年の焦点《後編》 国内2冠の宮田莉朋はF2からステップアップの可能性 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 FIAは審査の結果、「アンドレッティにはF1参戦の技術・財務能力がある」とお墨つきを与えました。しかし、参戦に必要なのはあくまでF1との契約であり、今はその交渉が滞っている状態です。

 既存のチームは、F1が財務的に苦しかった2010年代中盤から身銭を切るかたちで人気向上のために投資を続けてきました。コロナ明けからようやく実を結び、これから投資に対する回収のフェイズに入ったところです。

 そこに投資もしていないアンドレッティが「F1人気だから」と参入して見返りだけを求めてくれば、投資をしてきた既存チームが反発するのも当然です。アンドレッティが本当にF1へ参戦したいのなら、目先の利益目的ではないことをきちんと説明し、既存チームがしてきた投資と同等以上の見返りを用意して納得してもらうことが必要でしょう。

 アンドレッティやGMといったビッグネームがF1に参入することでF1人気がさらに拡大して利益が見込めるといった漠然とした計画ではなく、目に見える利益をもたらすことが突破口になるはずです。ただ問題は、今のアンドレッティにそれができるかどうか。いずれにしても、残された時間はそう長くありません。

【10】国内2冠・宮田莉朋。F2挑戦でF1への道は?

 今年はF1直下のFIA F2に宮田莉朋(りとも)が参戦します。国内トップカテゴリーをダブル制覇(スーパーフォーミュラ&スーパーGT)した宮田の能力に疑問はないでしょう。

 F2はちょうど新車『F2 2024』が導入されるため、既存ドライバーたちとの経験値の差は小さくなり、新たに参戦するタイミングとしては最適でしょう。所属するロダンも昨年までの名門カーリンをそのまま引き継いでおり、ランキング3位の実力チームです。

 ただし、宮田にとっては初めてのヨーロッパで、なおかつ初めてのピレリタイヤ。下位カテゴリーからヨーロッパで戦ってきているドライバーたちとは、そういった経験値の差はあります。

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