角田裕毅「ポイント獲得を焦ってミス」と自己分析 雨のベルギーGPはマシン性能以上の結果を掴むチャンス (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【後半戦を占うベルギーGP】

 それが最も顕著に表われたのが、前戦ハンガリーGPだった。

 角田は新加入のダニエル・リカルドより速さで上回っていたが、Q1でわずか0.013秒差で負けてQ2進出を逃した。そして決勝では、スタートで不運に見舞われたリカルドを逆転して11位に上がったものの、リカルドはそこから冷静なレース構築で完璧な戦略とタイヤマネージメントをこなし、気づけば13位まで浮上していた。一方の角田は、チームの戦略が「謎」というくらいチームと噛み合わないレースを見せてしまった。

 ベテランとはいえ新加入のリカルドがそれだけソツのないレース運びを見せただけに、角田としてもあらためて自分の優れた部分、足りない部分を見つめ直すいいキッカケになったのは間違いない。だからこそこうして、自分のミスも少なからずあることや、ポイント獲得を焦るあまり起きてしまっているミスであることを自己分析できているのだ。

 ベルギーGPはチャレンジングなスパ・フランコルシャン・サーキットで行なわれるうえに、スプリントレースが行なわれるため、たった1回のフリー走行で金曜午後には予選に臨まなければならない。さらには週末を通して雨の予報であり、チームもドライバーも完璧な仕事をこなすことが求められる環境が整っている。

 ここでミスを犯せば、取り返しのつかない低迷にもなり得る。その一方で完璧なレース週末にできれば、マシン性能以上の結果を掴み獲ることができる。それがスパ・フランコルシャンだ。

 夏休み前のシーズン折り返し地点で、角田裕毅とアルファタウリがどんな走りを見せるか。それは間違いなく、これからのシーズン後半戦を占うことになるはずだ。

プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る