ホンダがホンダであるために「やる、辞めるの繰り返しじゃダメなんです」...2026年再始動に向けて「心が動く」要素は揃った (4ページ目)
【本田宗一郎の想いを受け継ぐ】
創業者・本田宗一郎は「レースをしなければホンダはない」と言った。ホンダらしさの根底には、レース活動によって得られる知見や自信、独創性があり続けてきた。浅木が手がけ苦しい時期のホンダを何度も支えてきたオデッセイやN-BOXといった斬新なアイデアは、間違いなくF1での成功体験と自信、発想力から生まれたものだ。
だが、実際のF1活動は本業の業績によって大きく左右され、第3期の撤退後はプロジェクト終了によってF1参戦に関する知見や設備が失われ、第4期の大苦戦につながった。何より、F1で得られたはずの知見が継承されなかった。
それではダメだ。
ホンダの"DNA"であるモータースポーツを確実に将来へと受け継いでいくための土台──それがHRCであり、F1活動だ。ホンダがホンダであるために、絶対に欠かすことのできない存在、それがF1だ。
「条件が揃った時にF1をやるんだけど、そうすると、条件が揃わなくなると辞めるということにもなるんです。今までずっと、その繰り返しになってしまっている。そういうことじゃダメなんです」(渡辺)
HRCの技術者たちは、今も2026年に始まる次世代のF1を見据えて研究開発に没頭している。ぜひその努力が報われ、そしてF1で得た知見と成功がさらにホンダを豊かにしてくれるような未来が来ることを願いたい。
ホンダがホンダであるために──。
プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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