「元祖日本一速い男」の目に涙。日産・カルソニックカラーが5年ぶりの復活V (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 12号車と言えば、ブルーのカラーリングで車体を彩り、長きにわたってトレードマークとなっている「カルソニック」が有名だ。ただ、そのブランドを展開していた自動車部品メーカー「カルソニックカンセイ」は2019年秋に海外企業と経営統合し、グローバルブランド「マレリ」として展開することになった。

 これにより、カルソニックというブランドは市場から消えた。だが、世界中にファンの多いカルソニックのロゴと青いカラーリングは、そのまま継続されることになった。

「これだけ長い間勝てなかったのに、それでもフォローし続けてくれたカルソニックには、本当に感謝です。ここ最近は日産勢が低迷していた時期もあったけど、とにかくカルソニックに"優勝"という成績を持って行きたかった」(星野監督)

 シーズン前に「今年こそ勝つ!」と力強く語っていた星野監督の想いに、ドライバーたちが応えた。

 SUGOで行なわれた第5戦。予選3番手からスタートした12号車は、今季からチームに加入した松下信治がホンダNSX-GTの2台を相手に一歩も引かない走りを披露する。一時は4番手に下がるものの、積極的に攻め込んで2番手に浮上。33周目にピットインし、平峰にバトンタッチした。

 後半もホンダとの攻防戦となったが、平峰は渾身の走りでポジションを死守。すると、トップを走っていたARTA NSX-GT(ナンバー8)がペナルティで後退したため、残り30周のところで12号車がトップに浮上した。

 前回の鈴鹿で、平峰は自身が担当したスティントでライバルに先行を許し、悔しい結果に終わってしまった。その悔しさを晴らすかのように今回は後続を引き離す走りを見せて、見事チームに5年ぶりの勝利をもたらすチェッカードフラッグを受けた。

 平峰と松下にとって、GT500クラスは初勝利。ともにレースキャリアのなかで苦労が多かっただけに、パルクフェルメで再会したふたりは喜びを爆発させた。

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