一線級不在のフェブラリーS。断然人気のレモンポップに一抹の不安があるなか、人気薄の実力馬2頭に妙味あり (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 実際、レース翌週に蛯名正義調教師が『バテた2頭のうしろで広いところに持ち出せず、不完全燃焼の競馬になった。走りきっていない感じがあるから、ダメージはない。スムーズなら、前回のようなことはないはず。ラクな馬ではないけど、上位とはそんなに差はないはず』と言っていたように、力負けではありません。

 昨年3月に開業した蛯名正師にとっては、初のJRAのGⅠ挑戦。今回は550kg近い同馬の上積みにも期待が持てます。明け6歳初戦の前走が衰えではないのなら、十分に見直せる馬です」

 松田記者が注目するもう1頭は、海外から参戦するシャールズスパイト(牡6歳)だ。

「カナダ調教馬の同馬は昨年、アメリカの芝GIメーカーズマークマイルS(4月15日/芝1600m)を優勝し、秋にはGIBCマイル(11月5日/アメリカ・芝1600m)で2着。芝、ダートの両GI制覇に向け、日本のダートGⅠにターゲットを絞ってきました。

 ダートは2戦して未勝利ですが、3歳時にはGIケンタッキーダービー(アメリカ・ダート2000m)参戦が検討されたほどの馬。早くからダート適性が見込まれていたようです。

 父スパイツタウンは、日本で芝、ダートの両方で活躍馬が出ている種牡馬。プレレーティング116ポンドは、出走馬トップの数字(次位はメイショウハリオの115ポンド)で、額面上の実力は足りていると思います。

 ここまで14戦5勝。フェブラリーSは招待競走ではなく、馬主は渡航費などの経費を自費でまかなう必要があります。そこまでして参戦を決めたのは、東京競馬場の国際厩舎の新設など、さまざまな理由があるのでしょうが、第一に好勝負を見込んでいるからと考えられます。その後はドバイターフへの登録もあり、海外転戦が予定されていますが、どんな走りを見せるのか楽しみです」

 昨年は1番人気が不振だったGI戦線。今年もその流れが続くようなら、ここに挙げた2頭が波乱の一端を担う存在となってもおかしくない。

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