ハリルホジッチは柴崎岳の適性をどう見ているのか (3ページ目)
しかし長所がクローズアップされる一方、「ビルドアップのときに不用意にボールを失う」という柴崎の難点はあまり指摘されない。Jリーグは守備の強度が弱く、大きな事故になりにくいが、アジアチャンピオンズリーグでのボールキープは軽率さが目立った。日本代表として戦ったブラジル戦でも、低い位置でボールを失い、失態を演じている。さらに言えば、ボール奪取能力も今野泰幸(G大阪)、細貝萌(ヘルタ・ベルリン)と比べれば平凡の域を出ない。
はたして、柴崎はボランチに適性があるのだろうか? そんな疑問が浮かぶ。
レアル・ソシエダで強化部長や育成部長などを歴任したスペイン人スカウト、ミケル・エチャリとの共著『日本サッカースカウティング127選手』(東邦出版)に、柴崎についての記述がある。
「ボランチ、もしくは攻撃的MF。体格は良い。右利き。ボールを運びながら相手のバランスを崩せる選手で、ボールを持ったときの落ち着きとアウトリダ(全体を掌握する威信)は特筆に値する。ボールを動かしながら、サイドバックとセンターバックの間に決定的パスを送るなど、ゴール前でのビジョンと技量には舌を巻く」
そしてエチャリは核心を突く。
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