【日本代表】イラク戦でアピール不足に終わった「控え組」の問題点

  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

名波浩の視点

 6月4日のオーストラリア戦で5度目のW杯出場を決めた日本代表。6月11日には、最終予選の残り試合となるアウェーのイラク戦を消化した。1-0で勝利したものの、内容、結果ともに圧倒してくれると思っていただけに、少し歯がゆさを感じた。

切れのあるドリブルと正確なパスでチャンスを作っていた清武弘嗣だったが......。切れのあるドリブルと正確なパスでチャンスを作っていた清武弘嗣だったが......。
 とはいえ、試合会場となるカタール・ドーハのアル・アラビスタジアムは、とてもサッカーをやるような環境ではなかった。気温は30度を超え、強烈な風が吹き荒れていたうえに、砂漠からの砂ぼこりが舞い上がって、目を開けているのも大変な状況だった。そうした悪条件を考えれば、この試合で、チーム、そして選手個々を評価するのは、難しいし、酷なことだ。

 実際、風の影響でボールはかなり流されていた。バックパスが向かい風で戻されたり、前線へのパスが追い風に乗って必要以上に飛んでしまったりして、トップパフォーマンスを発揮するには、厳しい条件だった。ピッチサイドで喋っているだけでも苦痛を感じるほどだったから、ピッチ上でプレイしている選手たちは余計に大変だったと思う。

 そんな中でも、素晴らしいプレイを見せていたのは、センターバックの今野泰幸と伊野波雅彦、前線で精力的な動きを見せていた岡崎慎司に、攻守で安定したプレイを披露した遠藤保仁の4人。とりわけ、センターバックのふたりは際立っていた。相手FWに対するチェックはもちろん、高い位置での相手ボールへのチャレンジも見事だった。サイドバックの背後に対するケアも良かったし、チャレンジ&カバーという前後の連係もうまくできていて、非常に充実した守備だったと思う。

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