【Jリーグ】30歳を迎える大久保嘉人がキレまくっている理由 (2ページ目)

  • 高村美砂●文 text by Takamura Misa
  • photo by Sugimoto Akihiro/AFLO SPORT

 シーズンに突入してからもコンディション管理は意識的に続けている。チームのトレーニングとは別に、週に一度、大阪に足を運んで体幹トレーニングで汗を流すのも、そのひとつ。実はこれも昨年から始めていたが、「昨年は行ったり行かなかったり、そのときの気分でバラバラだった」と大久保。だが、今年は違う。「いつでも行けるとなれば自分に甘えが出るけんね。自分に負けないよう、妥協しないように」との考えから、週に1度、曜日を決めて足を運ぶようになった。こちらも今のところ一度も休まず通い続けているという。

 こうして『妥協しない自分』にこだわるのはすべて、2014年のブラジルW杯を見据えてのこと。普段はそこまで『日本代表』への欲を強く主張しない大久保が、ハッキリと言う。

「オフの間は日本代表を意識して、というより、今年は大きく神戸のメンバーが代わり、新しいチームになるという期待感に自分が動かされていたところもあった。でも、2月に久しぶりに日本代表に復帰したことで、自分のW杯や日本代表への欲が高まったというか。やっぱり、ブラジルに行きたいと思ったし、そのためにはやるべきことをやらなければいけないと痛感した。しかも、今年で30歳やけん。今のところ年齢を感じることはほとんどないけど、年を取れば間違いなく贅(ぜい)肉もとれにくくなるだろうし、おまけに自分は太りやすい体質やけんね。それらを総合的に考えても、今ここでしっかりとコンディションを整える方法を、身体に覚え込ませておく必要がある」

 一方で、『2014年』に着実に近づくために、自分に求められているのが『結果』であることも自覚している。今季、個人的な目標としてJ1通算100得点、チームとしてACL出場権獲得を明確に掲げるのもそのため。そして、「(今年のチームは)明らかにパスが出てくる。自分を使って攻撃を作れる選手が増えたからね。これからもっとスムーズに連携が築かれていくはず」と自信を抱くからこそ、目標は必ず実現できると宣言する。

「J1通算100ゴールまで、あと13やけんね。どん欲に狙っていきたいし、取れそうな予感もある。そこも、妥協したくないね」

 その決意が今、彼の身体に、プレイに満ちている。

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