原英莉花がボールに刻んだ復活への「覚悟」 選手生命すら不安になるどん底から2度目の女子オープン制覇 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 5月に長く苦しめられていた腰のヘルニアの摘出手術を決断し、8月の復帰後、今大会が8戦目となった。原のボールには、日本語で「覚悟」を意味する「readiness」という言葉が刻まれている。

「腰が痛い時は練習ができないし、やりたい動きもできないし、ただ試合をこなさなきゃいけないというか、日々進んでいくなかで自分に自信が持てずにやっていくもどかしさ、消化のしようがない苦しさがあった。去年の夏は『シードを獲れないのでは?』と思いながら戦っていた。

 正直、『選手寿命は短いのかな』と思っているなかで、自分ができる挑戦を前向きに頑張る、強い気持ちで戦っていくという想いを込めて入れました」

 苦しい時期も、術後に不安にかられた時期も、「信じる者は救われる」と自身に言い聞かせた。

「開き直って『大丈夫』と信じることが大事だな、と。復帰後、1試合1試合、すごく長く感じたけど、(手術時に)もう一度、ゴルフが本当にできるのかという状況から考えたら、すごく早かったと思います」

 10月17日からは来季の米ツアー出場権をかけた2次予選会に挑戦し、通過すれば11月末から12月上旬にかけて実施される最終予選会に挑む。

 選手生命すら不安になるどん底から這い上がって3つ目のメジャータイトルを手にした24歳に、恐れるものはもはや何もないだろう。

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