ゴルフ・蟬川泰果は日本男子ツアーの救世主となるか。超攻撃的スタイルに「ギャラリーは凄いプレーを見に来てくれている」 (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Sankei Visual

 初日、「64」をマークして首位にたった時も、「勝ちにいくイメージでプレーしています。やるからには負けたくない。優勝が目標だけれど、(それに)とらわれすぎないで、一打一打をしっかりとやり続けていくゴルフですね」とコメント。イーブンで終えた2日目にしても、「確かに我慢の一日だったかなと思うんですけど、そのなかでも、後半いい流れがきたので、あと2、3個は(バーディーが)いけたかなと思うのが、正直な気持ちです」と、ポジティブな姿勢を崩さなかった。

 そして、6打差とリードした最終日も、「勝ちたいと思う以上に、いいプレーをしたいという気持ちが強くなりました。ですから、トリプルボギーを叩いたことが、あまり(自らの)気持ちに干渉されずに回れました」と言った。

 トリプルボギーは、9番パー4での出来事。4番アイアンでティーショットを打ったあと、残り143ヤードの2打目をPWで打って、それがグリーン奥のラフにオーバーした。深いラフで、3打目はボールの下をくぐってしまった。それを、2回繰り返してのトリプルボギーだった。

 同9番ホールは、前日の3日目には1オンに挑戦し、成功したホールである。その際も、「もちろん身内、お父さん、お母さんだったら、『セーフティでいいから』という気持ちになるかもしれないですけど、ギャラリーの方々の見方を考えると、昨日の(9番の)イーグルだったり、ああいった凄いプレーを見に来てくれていると思うので」という気持ちがあってのことだという。

 蟬川のポジティブなプレースタイルは、JGA(日本ゴルフ協会)ナショナルチームコーチのガレス・ジョーンズ氏の影響が強いと思う。

 ここ10年以上、日本のナショナルチームは、ジョーンズ氏の指導によってメキメキと成長。その成果は、プロツアーでも鮮明に表れている。勝みなみ、畑岡奈紗、金谷拓実をはじめ、稲見萌寧、西村優菜、古江彩佳、中島啓太、桂川有人、久常涼......など、「黄金世代」と呼ばれる面々や、それに続いて台頭する若き女子プロ、さらに近年頭角を現わしている若手男子プロのほとんどが、ナショナルチーム出身者である。

 そのジョーンズ氏の教えは、第一にショートゲーム。練習の7割を占める。その他、ドライバーなどが3割という。

 そして、重要なのはメンタルだ。ジョーンズ氏は、世界のメジャー大会で活躍する世界トップクラスの選手たちを分析し、技量の豊富さだけでなく、マネジメントの旨さ、ゴルフ脳などを、しっかりとナショナルチームの選手たちに植えつけている。

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