シャビ・アロンソ監督のレバークーゼンが今季公式戦無敗を継続中 かつての名ボランチが仕込んだ「ビッグクラブ的な戦術」とは? (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【バイエルンとの天王山に完勝】

 第21節のバイエルンとの天王山(2月10日)にも3-0と完勝だった。

 バイエルンのトーマス・トゥヘル監督は、レバークーゼンとシステムを合わせて3-4-3をぶつけている。1対1にして、個の強さで潰してしまうつもりだったのだろう。

 ところが、この作戦は完全に裏目だった。シャビ・アロンソ監督はおそらくバイエルンの対策を予測していたのだろう。いつもはボールと共に主導権を握るのに、この試合では前線のプレス位置を下げてバイエルンにボールを持たせていた。

 システムを噛み合わせてフィジカルで押しきり、ショートカウンターを繰り出すつもりのバイエルンとしては、やや意表を突かれたに違いない。そして、ボールを持たされたバイエルンは、目論見とは反対に自分たちのビルドアップをレバークーゼンにことごとく阻止され、カウンターを浴び続けるはめになった。

 バイエルンの組み立てはレバークーゼンと違って、選手が散開していた。結果的に各選手が孤立してボールを失っている。レバークーゼンのように短い距離感でパスを回せば、相手に寄せきられる前にボールを逃がせるが、バイエルンの距離の長いパスはボールの移動中に走力で詰められてしまう。

 システムは同じでも運用の練度に大きな差があり、それを露呈させるためにシャビ・アロンソ監督はあえてボールを持たせたと想像できる。

 監督経験がまだ浅いシャビ・アロンソだが、百戦錬磨のトゥヘルを手玉にとった勝利だった。2-0としてからは5-4-1の撤退守備でバイエルンの攻撃を手詰まりにさせ、アディショナルタイムにはカウンターからダメ押しの3点目を奪っている。

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