鎌田大地にとって日本代表落ちは一発逆転のチャンス ローマ戦に向け元イタリア代表がアドバイス

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella(『ラ・ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

 鎌田大地のラツィオでのここまでの4カ月をひと言で表すならば「シーソー」という言葉がぴったりだろう。ドイツから移籍してきた時は高く上がっていたが、その後は下がり、ナポリ戦のゴールでまた浮上したが、今はまた低く落ちている状態だ。

 ローマという街では、あっという間にサポーターのハートをつかむこともできるが、見どころのないプレーが3、4試合続けば「あいつは何やっているんだ?」と不満の声が聞こえるようになる。SNSでは「フランクフルトで16ゴール決めていた男はどこにいっちまったんだ?」と書き込まれる。ラツィオでのプレー低迷が影響したのか、アジアカップを戦う日本代表のメンバーからも外れてしまった。

 しかし、鎌田はそれをチャンスに変えることもできる。エンポリ戦(12月22日)で筋肉を傷めたため、現在はルイス・アルベルトが欠場中だ。あと2週間ほどはピッチに戻れないだろう。その間、カタールに行かなかった鎌田にスタメンが回ってくることはほぼ確実だ。

 そしてそのうちの1試合は1月10日のコッパ・イタリアの準々決勝。対戦する相手は最大のライバル、ローマだ。ラツィアーレ(ラツィオファン)にとってもローマニスタ(ローマファン)にとっても、ダービーは特別な試合だ。何が何でも負けたくはない。もしこの試合で鎌田が活躍すれば、シーソーはこれまで以上に高く上がるだろう。すべては鎌田次第だ。

 彼はここまでリーグ、チャンピオンズリーグ(CL)を含めて21試合でプレーしているが、成績は1ゴール1アシストに留まっている。彼にとっても、期待していた人々にとってもあまりにも少ない数字である。

ウディネーゼ戦で先発、前半で退いた鎌田大地(ラツィオ)photo by AP/AFLOウディネーゼ戦で先発、前半で退いた鎌田大地(ラツィオ)photo by AP/AFLOこの記事に関連する写真を見る 直近の2試合(12月29日のフロジノーネ戦、1月7日のウディネーゼ戦)ではスタメンでプレーしたが、どちらも途中で下げられている。ウディネーゼにラツィオは2-1で勝利したが、鎌田はほとんど貢献できないまま前半で交代。代わって入ったマティアス・ベシーノが決勝ゴールを決めた。『ラ・ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙が鎌田に与えた評価はチームの誰よりも低い5。「いつも以上にチームに入りこめず」というのがコメントだ。

 彼のプレーからは「やる気はあるのに、活躍できない」というジレンマが感じられる。そこから抜け出すカギは、サッリズムを理解すること。それ以外に方法はない。他のリーグやシステムから来た人間には。指揮官マウリツィオ・サッリのサッカーを理解するのは難しい。ラツィオでも何度も繰り返されてきたことだ。今回はもっと具体的に「サッリズム」とは何かを説明したいと思う。

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