堂安律に11億円の価値は大いにある。監督から「攻撃は自由にしてくれ」と言われるほど絶大な信頼感 (2ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

2度目のドイツ挑戦は上々

 72分にも正面の位置からゴールを狙った堂安は、その直後の74分に交代。今季初のフル出場こそお預けとなったが、今季3勝目(1−0)に貢献した。チームとしても個人としても、シーズンの滑り出しとしては及第点以上だ。

「(前半途中から雷雨になった)天候もあって、完璧な試合運びができたかはわからないですけど、後半はよくなったと思いますし、持ち味を後半は少しは出せていけた。まだまだ改善点はありますけど、(開幕して4試合で)勝ち点9。(4試合で唯一負けた)ドルトムント戦もいい試合をしてたんで、すごいいい出だしかなと思います」

 内部を知悉する堂安が「本当にしぶといチーム」と自画自賛するように、フライブルクの強みは数メートルのズレもおろそかにしない緻密で組織的な守備に加え、フィフティ・フィフティのボールに全力で向かい、そこで奪いきってしまうところにある。

「一人ひとりが球際で戦って、やれてるチーム。足もとのクオリティだと、ほかのチームのほうがいい時はもちろんある。そうじゃなく、1対1のところやメンタル的なところが強い。ひとつになっているチームだなと思います」と、自クラブの長所を分析する。

 期限付きでビーレフェルトに在籍した2020−21シーズン以来、2度目のドイツ挑戦の堂安は、DFBポカール1回戦カイザースラウテルン戦に始まり、開幕節アウグスブルク戦もネットを揺らした。先述のように全公式戦で先発を果たすなど、すでにれっきとした主力のひとりである。しかし、チームにフィットするまでもうしばらく時間を要すると、本人は見ているようだ。

「まだまだですね。ほしい時にボールが出てきてないですし。特に前半なんかはボールに関与する時間は少なくて。後半はよかったですけど。もっと自分のよさを理解してもらわないといけない。まだまだ程遠いですけど、監督が信頼して使ってくれてるのはすごく感じてるんで、しっかり応えられるように頑張りたいです。

 勝ってるっていうのが気持ち的にやっぱでかい。それで自信も大きくなります。これで完璧じゃないなと思いながらチームが負けてると、気持ち的にしんどい。そこで勝ちきれてるのは大きいなと」

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