ネイマールも関係。18歳佐々木大樹がパルメイラスに移籍した裏事情 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 2014年に建てられたホームのアリアンツ・パルケは南米でもっとも近代的なスタジアムで、その年の世界最優秀スタジアムにも選出されている。パルメイラス出身のJリーガーも少なくない。パルメイラスは世界的なマーケティングの拡大を目論んでいた。

 こうして地球の裏側に位置する2つのチームの思惑が一致し、新たなサッカービジネスを目指して手を組もうということになった。そのシンボルとなったのが、今回の佐々木の移籍だったのだ。

 ヴィッセル神戸はブラジルの名門チームとパイプを持つことで、テクニカル面でも、その他の面でも、そのノウハウを共有することができる。とくに才能ある若手選手に本場のサッカーを体験させ、成長させることができるし、ブラジルの優秀な選手を得ることもできる。パルメイラス側もコーチの派遣、親善試合、サッカークリニック等、できることはたくさんあるし、日本企業の誘致も期待できる。

 ただ、もともと両者は互いを意識していたわけではなかった。その裏にはこの2チームを結び付けた存在がある。それには驚いたこと、ある有名なブラジル人選手が関係していた。ネイマール(ブラジル代表/パリ・サンジェルマン)だ。

佐々木大樹(左)と大物代理人のグスタヴォ・カルモ氏佐々木大樹(左)と大物代理人のグスタヴォ・カルモ氏 そもそも佐々木をパルメイラスに紹介したのはグスタヴォ・カルモという代理人だ。彼はネイマールと親友と言ってもいい間柄にある。このカルモとBBMスポーツという会社の社長ジョアン・デ・セルソ・モラレスは、アジアでも多くの仕事をしており、まず楽天の三木谷浩史社長とコネクションを作ることに成功した。

 当時、佐々木には少なくともヨーロッパから2つの大きなオファーが届いていた。しかし、最終的に佐々木とヴィッセルが行先をパルメイラスに決めたのは、この2人の暗躍が大きかった。

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