インテル体制変革へ。「全選手に放出の可能性あり」で長友佑都は? (2ページ目)

  • ティツィアーナ・カイラーティ●文 text by Tiziana Cairati
  • 内海浩子●翻訳 translation by Uchiumi Hiroko

 もうひとつの問題はインテルの今後の統治である。こちらに関しては、当面はトヒルがマーケティング部門を担当し、モラッティと彼の息子、アンジェロマリオがスポーツ面、つまりピッチに関わるチームまわりをケアする分担制をとる形で折り合いを図っているところだ。

 このような状況下でチーム作りが同時並行で進められているわけだが、"現オーナー"モラッティのここでの考え方は明白だ。補強はする。だが「徹底的な収支バランスを計算の上で」という注釈がつく。だから数年前までのようにイブラヒモビッチやエトーのような高額選手を獲得にいくことはない。

 UEFAによるファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の縛りもあるのだが、今年6月30日の決算において、直近1年間の収入が8000万ユーロ(約104億円)減だったことが移籍市場でのやりくりを難しくさせる原因となっている。

 使える金がわずかな中で移籍市場を戦うのは容易ではない。そこで選手売買を担うマルコ・ブランカTD(テクニカル・ディレクター)とピエロ・アウジーリオSD(スポーツ・ディレクター)は、会長の方針に従って、まずは契約切れ、つまり移籍金ゼロの選手で補強した。こうしてDFマルコ・アンドレオッリ(キエーボ)、DFウーゴ・カンパニャーロ(ナポリ)、MFディエゴ・ラクサルト(ディフェンソール)を新戦力として加えたわけだが、その後はレンタルでの獲得作戦をとっている。

 一方、同じく無料で獲得したアルゼンチン人MFルベン・ボッタ(ティグレ)をリボルノへ回そうとする動きは、EU外枠を使いたくない事情ができたからだ。つまり、チェルシーのブラジル人DFウォラス獲りである。同選手はローン移籍の形で契約まであと一歩となっており、事実、"元インテル"のモウリーニョはチェルシーのアメリカ遠征に彼を召集していない。

 こうして頑(かたく)ななまでにコストをかけずにDFとMFのてこ入れをしていかなければならなくなったのは、なけなしの予算をFWに使ってしまったこともある。まずパルマからイシャク・ベルフォディルを取るために、1千万ユーロ(約13億円)とカッサーノを差し出した。次に昨季のセリエAの新星マウロ・イカルディをサンプドリアから1300万ユーロ(約17億円)でゲットしたのだ。

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