川崎フロンターレが獲得した「ファン・ウェルメスケルケン際」とは、どんなプレーヤーなのか? (5ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru

【オランダでの経験を川崎フロンターレで活かす】

 NECでの最後の2試合。際の活躍にロヒール・マイヤー監督はこう言ってうなった。

「際はチームが(フェイエノールト戦のように)困った時、すぐに助けてくれます。ゴー・アヘッド・イーグルス戦のゴールは、その成果です」

 続くトゥウェンテ戦(1-0)は左SBカルビン・フェルドンクが30メートルの距離から美しいFKを決め、これが決勝点となってNECが勝った。出場機会のなかった際は試合後、フェルドンクに「どっちのゴールのほうがすごかったかな?」と冗談交じりに尋ねた。「際のゴールのほうがすごかった」「いや、君のゴールのほうがすごいよ」とふたりは称えあったという。

 週間ベストイレブンに選ばれても、強烈なボレーシュートを決めても、レギュラーのバルト・ファン・ローイが復帰すれば、また際は控えメンバーにまわる。

「クラブの生え抜きであるバルトを優先することは理解できている。昔だったらちょっとクサってたりした可能性もありますけど、経験を活かし、落ち着いて毎日やれています」

 黒子(くろこ)が魅せた派手な活躍──。NECの人たちは際のことを、いつまでも語り続けるだろう。

プロフィール

  • 中田 徹

    中田 徹 (なかた・とおる)

    スポーツライター。 神奈川県出身。オランダを拠点に、2002年よりサッカーを主に取材。オランダスポーツジャーナリストクラブ会員。

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