現役最強! 福森晃斗が選ぶ、Jリーグ歴代フリーキッカートップ10。「到底追いつけない3人がいる」 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

ある時からポジティブに蹴れるようになった

4位/福森晃斗(北海道コンサドーレ札幌)

 自分をこの順位に入れさせていただいたのは、このあと挙げる3選手には到底追いつけないと思っているからです。もちろん、駒野さんにも代表など実績の面で到底敵わないと思っています。それでも駒野さんのDF登録のFK得点記録の一つ上に行きたいという意味で、4位に自分を入れさせていただきました。

 自分のベストFKを考えた時に、今シーズンのホームのジュビロ磐田戦のゴールは、イメージどおりのキックだったと思います。札幌ドームなので風がなく、当てるポイントとか、どの壁を越えて、どう曲がって落ちて、あのコースに決めるというのが、すべて計算どおりで、蹴った瞬間に入ったとわかりました。

 前までは「FK来ちゃったよ」とか、「外れるんだろうな」とか、ネガティブな感情で蹴っていた時期があったんです。でもある時からボールをセットして「これは入るな」と感覚的にわかるようになって、すごくポジティブに蹴れるようになったんですよね。

 2019年のルヴァンカップ決勝で決めたFKも、セットした時には「これ、こっちに蹴ったら入るじゃん」という感覚でした。そういう時は特別な感覚があって、スタジアムの周りの音も聞こえなくなって、自分の世界に入っている感じですね。

 どの試合がきっかけだったかは忘れてしまったんですけど、数年前の試合でそういう感覚でゴールを決めた時から、FKに対する気持ちがすごく変わりました。

3位/遠藤保仁(ジュビロ磐田)

 FKのゴール数で歴代2位の実績からもわかるとおり、遠藤選手は誰もが認める日本を代表するキッカーですね。南アフリカW杯のデンマーク戦で、本田圭佑選手が蹴ると思いきや遠藤選手が巻いて決めたFKは、すごく印象に残っています。

 遠藤選手のキックはスピードというより、コース重視なんですよね。僕から見たらボールがすごくゆっくりに見えるんですけど、GKが絶対に届かないコースに正確に決めてしまう。あのキックの質も僕にはないものだと思っています。

 ただ、蹴り方自体は難しいものではなく、すごくシンプルで基本に忠実なキックだと思います。そのなかで遠藤選手の繊細な感覚で微調整をして、あれだけ高い質のキックになっているのだと思います。

 ゆっくりなボールでも決められるのは、コースだけではなく、GKとの駆け引きも巧みな証拠です。GKの一手、二手先を読んで、逆を突いたり、タイミングを外したり。助走を始めた時点で、GKとの駆け引きに勝っているんじゃないですかね。遠藤選手がどんなことを考えているのか、頭の中を覗いてみたいです。

 もう一つ遠藤選手がキッカーとして次元が違うなと思うのは、メンタルです。デンマーク戦の時もそうでしたが、あれだけのプレッシャーがかかる場面でも焦っている様子が少しも感じられなくて、いつもどおりのキックで正確にコースを突いて決めてしまう。あのメンタルは尋常じゃないと思います。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る