広島ひと筋19年目の青山敏弘が背負ってきたもの。「ピッチに立てなくても、みんなの想いは伝わってきた」 (3ページ目)
本当はピッチに立ちたかった
「サポーターのみなさんには、先週も含めてずっと悔しい想いをさせてきたので、今日は一緒に戦っているということを示したかった」
青山の熱い行動は、サポーターだけでなく、ピッチで戦う選手たちにも届いていたに違いない。ミスから失点し、窮地に追い込まれながらも、若き紫の戦士たちは勝利だけを追い求めて走り続けた。
元来、負けず嫌いの男である。相手が誰であろうとも、闘志をむき出しにしたプレーで激しく削りにいく。中村俊輔だろうが、中村憲剛だろうが、小笠原満男だろうが、遠藤保仁だろうが、青山はビッグプレーヤーにも臆することなく立ち向かっていった。
しかし今は、試合に出られない自らの立場を受け入れているように感じる。もちろんピッチに立ちたい想いは誰よりも持っているだろうが、一方で満田をはじめとする年下のチームメイトたちの活躍を誰よりも願っている。そこには、低迷した広島を立て直したスキッベ監督に対する信頼感があるからだろう。
「今のこのチームには、若い子の頑張りがある。そこにベテランもそうだし、中堅の頑張りもある。それは監督が道筋をしっかり作ってくれたから。そこに僕らは乗せてもらっている。僕もそうだし、若手もそう。だから監督に感謝したい」
当然、チームメイトたちも青山をリスペクトしている。長年広島を牽引してきた偉大なる先輩に、まだ手にしたことのないカップを掲げてもらいたいという想いがあったはずだ。
「優勝させてもらおうと思って。みんなの力を思いきり借りて、自分もカップを掲げさせてもらうという想いを持っていました。まさに、そのとおりになりましたね。
(逆転したあとに)最後、出てやろうと思って着替えていたんですけど、もう交代を3回切っていたので、それは無理だったなと(笑)。本当は出たかったですけど、何より勝ちたかった。
僕のためかどうかわからないですけど、僕にはみんなの想いが伝わっていた。ピッチに立っても、立てなくても、あそこでユニホームを着て、みんなで喜べたのはよかった。みんなに感謝したいですね」
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