中村憲剛と佐藤寿人が感じた日本代表のもろさ「前線、中盤、最終ラインの思惑が少しずつズレていた」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

憲剛 僕は日本で見ていたので、リアルな空気感というのは当然わからないですけど、画面越しで見るかぎり、そこまでの熱量を感じることはできなかった。スタジアムにしかない"圧"みたいなのは現役時代にも感じていたので、地理的な問題もあったと思いますが、サポートがいつもよりも少ないという意味でのアウェー感はあったかなと思います。

 あとは、選手もコメントを残していましたけど、さっき寿人が言ったように、日本の熱量がほかの国を上回っていたかと言えば、そうではなかったと思います。日本と対戦するすべての国がそうでしたが、特にイラクだったりイランのほうが、客観的に見ると上回っていたように感じます。

 イランには、日本に勝ったあとに涙を流す選手もいました。果たして日本は、そこまでの熱量を持って相手と対峙していたかというと、どうだったのかなと。もちろん、これは結果論ではありますが。

── やはり短期決戦の大会では、どれだけ熱量を高められるかが重要になってくるのでしょうか。

憲剛 重要ですね。なので、今回の北朝鮮戦に(長友)佑都が呼ばれたのかなと個人的には思っていて。彼は熱量の塊みたいな男ですから。

 アジアカップは(吉田)麻也だったり、(川島)永嗣だったり、長友が抜けたあとの初めての国際大会でしたけど、そういう選手たちの抜けた穴が思いのほか大きかったのかなと思いました。伊東純也の件もありましたし、いろんな意味で難しい大会だったのではないかと思います。

── 戦い方のところで言うと、ロングボールを送り込んでくるシンプルな攻撃への対応にもろさを露呈しました。

憲剛 何事もそうですが、割りきって愚直にやってくるチームが一番怖いし、戦いにくいです。前線に戦略的にロングボールを入れ、そこでバトルしてセカンドボールを拾って、サイドに展開してクロスを送り込む。守備では球際で厳しく戦い、ハードワークをいとわない。また、セットプレーだったり、ロングスローも含めて、かなり徹底していたと思うんですよ。

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