日本代表の北朝鮮戦で福田正博が目を奪われた2人とは? 攻撃陣には「ゴールで評価される働きをしてほしい」

  • text by Tsugane Ichiro

福田正博 フットボール原論

■サッカー日本代表の北朝鮮戦を福田正博氏が分析。「難しい戦いになった」なかで、目を奪われたという2人と、1得点に終わった攻撃陣への評価も聞いた。

【戦前の状況は想像以上に難しかった北朝鮮戦】

 サッカー日本代表は、W杯アジア2次予選の北朝鮮戦に1-0で勝利した。アウェーで予定されていた2戦目が中止になったことに対して思うところはいろいろあるが、まずは難かしかったホームでの試合をしっかりモノにした点を評価している。

北朝鮮戦にCBでフル出場した町田浩樹 photo by Sano Miki北朝鮮戦にCBでフル出場した町田浩樹 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る 北朝鮮のFIFAランクは114位。18位の日本代表との差は大きいため、戦前は容易く勝てると思っていた人も少なくないだろう。だが、そうしたものでは推し量れない難しさがこの試合にはあった。

 ひとつは試合に向けたコンディショニングの差だ。北朝鮮は日本戦に照準を合わせて万全の状態で臨んできたのに対し、日本は直前まで所属クラブでのプレーがあった。顕著だったのはキャプテンの遠藤航(リバプール)だ。北朝鮮戦の4日前にFAカップで120分間プレーした影響もあって、北朝鮮戦はスタメンから外れた。

 遠藤以外の選手も所属クラブでの試合の疲労感に加えて、移動距離や時間を含めた影響があり、万全とは言えない状態だった。

 海外組が日本代表の主体になっているのは、いまに始まったことではない。ただ、1月のアジアカップで示されたように、アジア全体のレベルが底上げされているなかでは、コンディションが整わなければ足元を救われたとしても不思議ではない。

 ふたつ目は、そのアジアカップ後に最初に行なわれる日本代表戦だったということ。優勝候補に挙げられながら、準々決勝で敗退したアジアカップのショック。これを引きずらない可能性はゼロではない。だからこそ、敗因のひとつに挙げられた優勝に向けた士気の部分での改善の狙いもあって、大ベテランの長友佑都(FC東京)が招集されたのではないかと思う。

 無論、大前提として長友は戦力として計算しての招集だったはずだ。どれだけ実績のある選手であっても、ピッチでの力が大きく劣っては、ほかの選手たちへの影響力は小さくなってしまう。その点、長友はFC東京では右サイドバック(SB)として、今季のJリーグの開幕戦からスタメンに名を連ねている。

 森保一監督は、そうした状況や三笘薫(ブライトン)と伊東純也(スタッド・ランス)の両エースを欠くことを理解したうえで、打てる手はすべて打って北朝鮮戦を迎えた。チームマネジメントとしては当然と思われるかもしれないが、どんな相手であっても抜かりなく準備するというのは意外と難しいものだ。

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