日本代表をアジアカップ対戦国はどう見たか トルシエが指摘する「日本の弱点と長所」 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【「今のままでは日本は優勝候補ではない」】

 対戦した今回の日本代表についてトルシエはこうも語っていた。

「今の日本代表の中には、ヨーロッパのどんなチームでプレーしても遜色のない選手が3、4人いる(名前はあげなかった)。森保(一監督)は非常にプロフェッショナルでフェアなプレーをするチームを有している。私が代表監督をしていた頃とはかなり違うね。より現代的で、より強く、より集中している。これは日本の大きな長所だ。

 決勝トーナメントになり、試合が進めば進むほど、日本はもっと強い、本来の力を見せてくれることだろう。まだ修正が必要な箇所はピッチでいくつか見かけられたが、優秀な監督の手によって、きっといい方向に変わっていくはずだ。イランとオーストラリアとともに、日本が最大の優勝候補であるという私の意見は変わらない」

 一方、ベトナムの記者オアン・テイエン氏は日本のウィークポイントをこう指摘する。

「日本は優秀なアタッカーと中盤の選手がいるが、守備やGKはそれに比べると見劣りする。ベトナムはそれを知っていて、そこをピンポイントでつくやり方をした。日本とベトナムの実力差はかなり大きいが、この戦法のおかげで日本を苦しめることができた。日本を一時でもリードしたことは、ベトナムにとっては非常に大きなことだ。この試合はベトナムサッカーの成長と日本の守備に問題があることを物語っていた」

 アジアサッカー全般に詳しいベトナムの記者タイ・ハ氏はもっと辛辣だった。

「ベトナムは少なくとも40分間は、日本と対等にプレーしていた。今のままでは日本は優勝候補ではない。今大会での日本のGKと、ピッチでの選手たちの動きは気に入らない。どこか混乱している。W杯で見たあのチームとは別物だ。多くのベトナム人にとって、日本は第二の心のチームと言っていい。このパフォーマンスには皆、がっかりしている」

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