「堂安律はバーゲンプライス」「板倉滉の大ファン」「吉田麻也は悲劇のヒーロー」。ドイツメディアが報じた日本代表への敬意 (3ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【元ドイツ代表も日本を絶賛】

 そんななか、フランクフルトの地元メディア『フランクフルター・ルントシャウ』は、日本代表について敬意を評した記事を掲載していた。

「森保一監督は、準々決勝を逃したことに対する落胆を隠そうとしなかった。しかし、ドイツとスペインに勝利したことを強調し、『今日の結果は、今大会における我々のパフォーマンスを否定するものではない。日本のサッカーは、このワールドカップから多くの力を作り出すことができるはず』と話した。

 ドイツを打ち負かした彼らは、ピッチ外でも常に模範的で礼儀正しい。その姿にふさわしく、森保監督はこのワールドカップに関わったすべての人々に、心からの感謝を込めて別れを告げ、(試合後にスタンドに向かって)最後のお辞儀をした。この丁寧な振る舞いに対し、チーム・ニッポンに対する今大会の最後の拍手が送られた」

 ドイツ西部のルール地方で大手の『WAZ』紙は、その地元にクラブを置くシャルケの吉田麻也をクロアチア戦後、このように取り上げた。

「彼は悲劇のヒーローのひとりだった。吉田はPKを外し、クロアチアが準々決勝に進出。シャルケのディフェンスリーダーであるこの日本人は涙した。

 試合後、ピッチに降りてきた子どもたちの目を、最初は見ることができなかった。彼はピッチにひざまずき、泣きながら、ただ、腕に抱くだけだった」

『ZDF』でクラマーとともにスタジオ解説を務める元ドイツ代表DFペア・メルテザッカーは、日本対クロアチアが終わったあと、番組内でこう締めくくった。

「前半の日本は本当にいいサッカーをしていたし、戦術面も技術面も大変すばらしいチームだった。ドイツを含め、いろんな国のトップリーグでプレーしている選手が多く、スペインとドイツがいるグループを首位で勝ち抜いたことには驚かされた。日本代表がもう一歩、先のステージに行けなくて、私も残念だ」

 日本人選手の多くが在籍するドイツのメディアは、初戦で負けたことを根に持つこともなく、総じて日本代表を温かい気持ちで報じていた。

【筆者プロフィール】鈴木智貴(すずき・としき)
1981年生まれ、静岡県出身。2010年からドイツ在住。DFB公認B級(UEFA−Bレベル)指導者ライセンス保有。これまでに左右アキレス腱断裂と左膝半月板損傷を経験しており、手術歴“だけ”はプロ選手並み。

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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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