サッカー五輪世代のアジア王者に。日本が優勝できた最大の要因は何か (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 そんな選手たちは、韓国を相手に0-2という絶望的な状況でも「下を向かずに落ち着いてやれた」(遠藤)。過去、アジアにおける数々の大会でベスト8の壁を破れずに来たリオ世代の選手たちが、驚くほどの変貌を遂げた結果の大逆転だった。

 選手たちに救われた形となった手倉森監督。だが、元をたどれば、彼らをたくましく成長させたのも、その手倉森監督である。遠藤が語る。

「誰も予想できないような展開だったが、監督にはいつも『しっかりと準備をすれば運も転がってくる』と言われていた。あきらめない気持ちやチームの一体感があったから、こういう結果になったと思う」

 ずっとアジアで勝てなかった選手たちは、この大会に「5大会続いてきた五輪出場を自分たちの代で止めてしまうのは、サッカー界で許されないこと」(岩波)と、悲壮な覚悟をもって臨んでいた。

 そして手倉森監督もまた、「彼らはU-20ワールドカップ(の出場)を逃し、プレッシャーをかけられてここへ来た」と、選手たちの置かれている状況を理解していた。

 だからこそ、選手たちに「悔しさを喜びに変えよう」「五輪に出て、自分たちの世代が日本のサッカーを引っ張っていくんだ」と語りかけ、少しずつ自信を持たせていった。

 今大会6試合を通じて先発メンバーを固定しなかったのは、選手の成長を促すためでもあった。手倉森監督は言う。

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