カンボジアにわずか3得点。日本の余裕のなさは何に起因するのか (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 ハリルホジッチは言う。「このチームはまだまだ伸びる可能性がある」と。当たり前の話をしないでくださいと突っ込みたくなるが、気になるのは「このチーム」という言い回しだ。

 このチームは永遠の集団ではない。これまでを見ても分かるとおり、W杯本大会の3年前のメンバーが、本大会に残る確率はせいぜい50%。代表チームとは、新陳代謝を繰り返しながら存在する集団だ。現メンバー、すなわちこのチームが、そのまま本大会に出場すれば、平均年齢は30歳を優に超える、他に類を見ない超高齢集団になる。となれば、その4年後は、新人の集団になる。代表チームは循環しない。

 どんなにドジを踏んでも、99.99%、通過するであろうアジア2次予選。それは新戦力を試すには最適な環境なのだ。遠藤航が東アジアカップでよかったというなら、サッと試せばいい。予選突破が不安視される五輪チームの活動の場に充ててもいいくらいだ。それならば、シンガポール戦に引き分けても、カンボジア相手にシュートを外しまくっても、それはそれで有意義な経験になる。代表チームの強化に相応しい、計画性に富んだ戦いと言える。

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