突然の「練習メニュー変更」はハリルの対アジア戦術転換か? (3ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 韓国に主導権を握られ押し込まれた前半で、リズミカルにショートパスをつないで主導権を奪い返したのが、30分過ぎの時間帯だった。

 27分にPKによって先制されてしまったが、そのままガタガタと崩れることなく持ちこたえ、山口蛍柴崎岳を中心にワンタッチ、ツータッチのパス交換が生まれると、左ウイングに起用された倉田秋のパスから山口がミドルシュートを叩き込んだ。

 その後、右サイドバックに入った遠藤航からの斜めのくさびがFW興梠慎三の懐(ふところ)に収まるシーンも何度か見られ、北朝鮮戦よりも「日本の時間帯」を築く。不運なPKを取られた森重真人が振り返る。

「手に当たってはいますけど、審判には故意か故意じゃないかというところをちゃんと見てほしい。ただ、こうしたアクシデントに見舞われても、チームがバラバラにならずに戦えたのは、1試合目よりもチームとして良くなったところを見せられたと思います」

 しかし、だからこそ、仕留めるべきときには仕留めなければならなかった。指揮官の狙う、最も効率のいい「縦に速い攻撃」で――。

 ベンチ前のクーラーボックスに腰をかけ、戦況を眺めていたハリルホジッチ監督は後半、何度か立ち上がり、ジェスチャーで不満を表した。その多くが速攻のチャンスだったのに、ボールコントロールにもたついたり、パスがズレたりして遅攻に切り替えざるを得なくなった場面だった。相手がアジアだろうが、世界だろうが、遅攻と速攻のメリハリは、ロシア・ワールドカップに向けた3年間の重要なテーマになるはずだ。

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