【なでしこ】アルガルベ杯、ドイツに完封負けも近年で一番の収穫 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 それは不利な状況において、リスクと戦術を考慮しすぎて新たなトライを見送った自分自身への後悔だった。あれから8ヶ月、その後悔と向き合ってきた宮間は、この試合で連続失点に追い込まれたからこそ、腹をくくった。ここで逃げない。「昨年のあのドイツ戦直後に感じた思いは消せた。自分がやることは変わらないっていうこともわかった。だから絶対に結果にしたかった......」(宮間)。

 欲しかった“結果”は生まれなかったが、自らの後悔を払拭し、流れを引き戻す強い姿勢を見せることでチームをゴールに向かわせた。ここから、スコアに結びつけるには、「もうひとつ高い位置でボールを受けて、自分も味方を生かすドリブルをする」と、すでに目標も見つけているようだ。

「コンディションにすべての結果を押し付ける訳じゃないが、まだシーズン前のこの時期によくやったと思う。下を向くことはない。この結果はショックではなくいい刺激になる」と語った佐々木監督。今大会では、初戦のアメリカから始まり、デンマーク、スウェーデンと対戦し、決勝に進んでドイツと戦うという、望んでもなかなか得られない対戦相手との連戦が叶った。

 招集メンバーも若手仕様の色よりもチーム構築を深める選考で、実戦でサイドバックをテストされた宇津木瑠美、上尾野辺めぐみ、有吉佐織3選手は十分に戦えるポテンシャルをアピールした。トップでも岩渕真奈が4年ぶりのゴールを決めるなどその存在感を示し、さまざまなポジションで選手間に競争意識が芽生えた。

 近年ではもっとも充実した強化につながったのではないだろうか。その先に見据えるものはワールドカップ予選を兼ねた5月のアジアカップだ。今大会で見つけた課題を短期間でどこまで克服できるか、アジアカップ初優勝はここからの2ヶ月にかかっている。

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