新人王のオリックス・山下舜平大が「あ、これだな」と思った瞬間 最速155キロにアップ (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

【高校時代は9割がストレート】

── カーブは小さい頃から投げていたのですか?

山下 中学生になって変化球が解禁されてからです。はじめは「縦スラ」と言っていたような気がします。中3くらいからカーブになっていました。

── 速くて落ちる、まさに「パワーカーブ」と言えるボールです。あの軌道も中学生の頃から?

山下 いえ、もともとは緩い、抜くカーブもあったんです。でも、今の形が一番投げている感じがするというか。カウントもとりやすいので。

── 「投げている感じがする」というのは面白い表現ですね。

山下 人それぞれですけどね。宮城(大弥)さんやサチさん(山崎福也/日本ハム)のカーブって、「ポンッ」て抜くじゃないですか。自分の場合は下に「ブルッ」という感じ。縦スラみたいに投げるほうが指にもかかりますし。

── 抜くカーブのほうがストライクは入りやすいイメージもあります。

山下 あくまでも自分のイメージですけど、抜くと一度高い位置にいってからストライクゾーンに入れないといけないじゃないですか。自分のカーブはリリースした位置からストライクゾーンに入れる感覚なので。映像を見ると、実際にはリリースしてからボールは少し上にいくんですけど。

── 意識のうえでは指にかけて、落としていると。

山下 縦スラですね。

── 実際の軌道を見たらカーブですけどね。

山下 そうですね。投げている感覚は縦スラですけど、実際に投げているのはカーブ。あれくらい抜けていていいと思います。

── 高校時代は「ここでスライダーが投げられたらラクなのに」と思うことはなかったですか?

山下 そうですね。カーブも全然完成してなかったですし、ストライクを入れるのが難しいので......。「(スライダーを)投げようかな」と思う日もありましたね(笑)。

── 実際に投げることはなかった?

山下 ないです。というか、ほぼストレートでしたから。9割方ストレートです。

── カーブはカウント球と勝負球で使い分けていましたか?

山下 いや、そんな余裕はなかったですね。ストライクがとれればそれでいいなと。基本的に高校生でカーブを張ってくる人はいないので。

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