佐々木朗希の先発ピッチャーとしての働きは「50点」 ロッテOB清水直行が考える「殻を破る」ために必要なこと (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【首脳陣の期待をいい意味で裏切らないとダメ】

――データは故障を防ぐための参考にはなるが、縛られすぎてもよくない、ということでしょうか?

清水 現状は、データが"抑止力"になってしまっているんじゃないかと。ただ、あれだけの素材を預かっている責任は重大ですし、素材を壊してはいけないという考えのほうが大きく働いているんだと思います。どうしても"過保護"に見られてしまうのは、「どこまでを本人に任せて、どこまでを球団が管理しているのか」が、こちらに伝わってきていないからだと思います。

 外部にそれを伝える必要はありませんが、本人がどう思っているのかは大事です。本音では「もっと投げたい」と思っているのか、ずっと管理されたままでいいと思っているのか。ケガのリスクを考えて球団に任せているのかもしれない。今のところ、交代の際にはコーチなどに「ご苦労さん」と肩をたたかれて、素直に交代しているように見えるので。

――シーズンを通してローテーションを守る体力をつけるために必要なことは?

清水 投げて鍛えていくしかありません。投げながら耐える体力をつけてピッチングを覚え、アウトを取るコツを身につけていく。しかし、今のロッテは投手を管理する側面が少々強いので、そういう感覚はないかもしれません。

 ただ、先ほども言ったように佐々木投手はそれを超えていかなければいけない。首脳陣の期待をいい意味で裏切らないとダメなんです。例を挙げれば、今年パ・リーグの首位打者になった頓宮裕真選手(オリックス)。もともと長打力に定評がありながらも確実性に欠けていましたが、本人の「(首位打者は)一番縁がないタイトルだと思っていた」という発言もあったように、首脳陣の期待値を超える好成績を残しましたよね。

 ロッテのピッチャーで言えば、小島投手がCS進出を決める試合など、いくつかの負けられない試合で期待値以上の好投を見せて殻を破りかけています。そういう力を見せないと、監督は起用のプランを壊してくれませんよ。選手のほうから殻を破っていかないと、監督は保守的になってしまいがちですから。

――期待値以上の力を見せないと、起用プランもマイナスな方向に変えざるを得ない?

清水 そうですね。例えば美馬学投手には「年間20試合登板で1試合6イニングぐらい投げてくれたら」といった目安を設けて開幕を迎えていると思いますが、フタを開けてみれば5回を持たないことが多く、20試合を投げられない......となると監督の起用プランも変わります。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る