佐々木朗希の先発ピッチャーとしての働きは「50点」 ロッテOB清水直行が考える「殻を破る」ために必要なこと (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【佐々木が超越しなければいけないもの】

――CSファーストステージのソフトバンク戦は、3回無失点4奪三振。支配的なピッチングを見せていましたが、本調子に戻ってきている印象はありましたか?

清水 完全復調と言ってもいいぐらいの完璧なピッチングでした。球数は3回で41球でしたし、「もう1イニング投げさせてもいいのでは?」という意見が出てくることもわかりますが、吉井監督の頭の中には数年先までを見据えたプランがあるんでしょうね。

――CSファイナルステージのオリックス戦では「なぜ、投げさせなかったのか?」という声も聞かれました。

清水 佐々木投手の体調を慎重に見た上での判断でしょうね。結局は結果論で、第4戦で種市投手がちょっと打たれてしまった(3回2失点)からそういう声が出てきたと思うのですが、吉井監督は種市投手にしろ小島投手にしろ、先発を任せたピッチャー全員を信頼して送り出しています。

 種市投手ならやってくれると思って任せているので、何でもかんでも「佐々木投手が投げたらよかったんじゃないか」というのは、他のピッチャーにはかわいそう。そこはプラン通りだったと思います。

――吉井監督は来季に5年目を迎える佐々木投手に対して、「中6日で150イニング」をノルマとして掲げています。

清水 プロ入り5年目の目標がそれ以下だとちょっと寂しいので、ノルマとしては妥当なのかなと。単純計算で、ローテーションで1年間投げると24試合、1試合6イニング投げたら年間144イニングです。これが7イニングだと年間168イニングなので、年間150イニングがノルマということは、「いけるなら7回、いけないなら6回」という感覚なんだと思います。

 それと、ロッテは2019年から医療面・コンディショニング面で順天堂大学のサポートを受けたりしていますが、データには必ず個人差がありますよね。「これぐらいのトレーニングをすると体がこうなる」「これぐらい投げたら体がこうなる」といった基準値があっても、それは他人のデータでもあり、佐々木投手個人のデータではありません。なので、"実際に投げてみなければわからない部分"はあると思うんです。

 体のどこかを故障した時、故障した原因を分析する際にデータは後ろ盾になりますし、故障を未然に防ぐための拠りどころにはなるのですが、そういったものを超越していかなければいけないと思うんです。例えば大谷翔平選手(エンゼルス)は、二刀流という前例のないことをしている。その際のケガのリスクは数値で測れないと思いますが、都度トライして大きく成長していっていますよね。

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