ロッテ優勝へのキーマンは誰か 清水直行はサイドスローの若手右腕や復調気味の安田尚憲などに期待 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by Sankei Visual

【安田に作ってほしい「戻るべき場所」】

―― 一方で、バッター陣のキーマンを挙げるとすれば?

清水 安田尚憲です。25打席ヒットが出なかったり苦しい時期もありましたが、(6月24日の日本ハム戦で)サヨナラの犠牲フライを打ったことで肩の荷が下りたのか、コンスタントにタイムリーも出るようになってきましたし、調子が上がってきました。

 打順としては5、6番に入ることが多く、ランナーが溜まった状態で回ってくるケースも必然的に増えるわけですから、そこで安田が打つかどうかは勝負をわけるひとつのポイントになると思います。吉井理人監督は、安田にヒットが出なかった時も二軍に落とさず代打で起用したり、なんだかんだと使い続けていました。最近はその期待に応えられていますね。

 今後、安田を何番で起用するのかはわかりませんが、5~7番あたりで自分のバッティングをしてもらって、少ないチャンスをものにできればいいのかなと。一度スランプに陥ると長いタイプなので、不調の時期を短くして、上がってきた調子を落とさないことを重視してほしい。今は打点を挙げてくれたら十分です。

――具体的に、安田選手のバッティングはどのあたりがよくなったのでしょうか?

清水 最近はセンター方向へ意識が向いている感じがします。体を開くことなく打つことができていますし、速い球、遅い球にもある程度は対応できるようになってきています。少しずつ、自分が打ちやすい形になりつつあるのかなと。

 今までは、形が崩れたらどうしようもなかった。何をやったらいいのかわからなくなって、がむしゃらに「あれもこれもやって」となり、バッティングフォームもコロコロ変わっていましたから。今、取り組んでいる形をものにできたら、これから先に不振に陥った時も「戻るべき場所」のようなものができると思います。

――安田選手と同様、打点が期待されるのが、現在チームで打点トップ(36打点/リーグ8位)の山口航輝選手だと思います。

清水 ケガから復帰してからはホームランも出るようになりましたね。常にスイングが豪快なので、相手にとって怖さもあるでしょう。特に均衡した試合では、一発で試合を決められる選手が貴重ですし、ロッテでは数少ない長打の期待できるバッターですから。

 楽天戦(.259)や日本ハム戦(.268)の打率と比べて、オリックス戦(.167)とソフトバンク戦(.200)の打率が低いのは気になりますけどね。両チームの投手陣がいいので仕方がない部分もあるでしょうが、上位を争うチームとの対戦時にどれだけ打てるかもポイントになりそうです。

【プロフィール】
清水直行(しみず・なおゆき)

1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝府中から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。

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