なぜ石川雅規、和田毅は40歳を過ぎても活躍できるのか 元チームメイト五十嵐亮太は「彼らは今も目がキラキラしている」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

 4月5日、ソフトバンクの和田毅が今季初勝利を挙げた。リーグ3連覇を目指すオリックスの打線を5回無失点に封じ、球団史上最年長となる42歳1カ月での今季初白星となった。翌6日には、ヤクルトの43歳・石川雅規がマウンドへ上がる。現在183勝、球界最年長の左腕は通算200勝を目指して投げ続ける。

 2人のベテランは、なぜ40歳を過ぎても第一線で活躍できるのか。石川と同い年で、ふたりとは現役時代にチームメイトとしてプレーした五十嵐亮太に、石川と和田の野球との向き合い方について聞いた。

43歳のヤクルト石川(左)と42歳のソフトバンク和田43歳のヤクルト石川(左)と42歳のソフトバンク和田この記事に関連する写真を見る

【40代になっても第一線で投げ続けられる理由】

――かつて、ヤクルトでチームメイトだった石川雅規投手が「球界最年長選手」となる43歳で2023年シーズンを迎えました。パ・リーグでは、ソフトバンク時代をともに過ごした和田毅投手がプロ21年目、42歳となりました。五十嵐さんも41歳まで現役を続けましたが、ベテランとなっても投げ続けることは本当に大変なことだと思います。

五十嵐 自分の身体と向き合う時間は、若い頃に比べると圧倒的に多くなりますよね。先日、ヤクルトの山田哲人と話した時に、「今までは身体が勝手に反応してくれたけれど、最近では自分から意識しないとそこが動いてくれない」と言っていました。まだ30歳の山田でさえそうなのだから、40代だとなおさらその意識は強くなりますね。

――自分の身体と向き合った上で、パフォーマンスを落とさず、さらに上げていくのだからとても難しいことと思います。

五十嵐 パフォーマンスを向上させるために、自分の身体と向き合う時間が圧倒的に長くなる。そうなると、節制しなければいけないこと、我慢しなければいけないことも増えていきます。それは、普段の心がけや節制も大切だし、加えて感性や発想力などがとても重要になります。石川にしても和田にしても、その点は強く感じましたね。

――若い頃とは身体も変化する。当然、故障も抱えているだろうし、疲労の蓄積もある。そんな中で、常にパフォーマンスを発揮するためにはどんな心がけが必要なのでしょう?

五十嵐 石川と和田はベテランになっても、現在の体力の中で最大限に追い込みます。もちろん、年齢を重ねるにつれてケガのリスクも高くなるけれど、だからといって練習をセーブするかというと、そういうタイプじゃない。2人とも、ケガしないギリギリまで追い込む。彼らを見ていると、「結局、練習をやる選手が残るんだな」と思いますね。

――和田選手の自著のタイトルは『だから僕は練習する』(ダイヤモンド社)ですが、まさにそういうことなんですね。

五十嵐 そこに尽きますね。彼らは常に「何が自分に合うのか、何を選択するのが正しいのか?」ということを意識しています。もちろん、100パーセント自分に合ったものを選択できているとは思わないですよ。でも、正しい選択をする確率はかなり高いと思うし、新しいことを自分のものにしているからこそ、今も現役でいられるのだと思います。

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